The Stranglers - Aural Sculpture

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The Stranglers - Aural Sculpture (1984)
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 恐らく人生で一度くらいしか経験しないであろう出来事の一つになるコロナウィルス騒動、言い換えれば現代のパンデミック事件で、映画風に書けばワクチンなしの新種ウィルスが世界中で大流行して経済は停滞し、外出したら制圧される世界へと変貌し、更に映画とは大きく異なるのがその後も世界は続く、という点だ。どういう世界になっていくのだろうか。以前のように戻りたいと思う部分と戻れない部分、即ち新たな世界の在り方に進んでいくのだろうか、その意味でも人生に一度くらいだろう。一方その影響で悲しいニュースも幾つか入ってくるが、その中にデイヴ・グリーンフィールドの逝去とあった。

 The Stranglersの1984年8枚目のオリジナルアルバム「Aural Sculpture」は俗に言うエピック移籍後第二弾のアルバムで、前作「黒豹」からまた作風を大きく変えてきた頃のアルバムとなる。更に時代が80年代ど真ん中で、同じ英国の表面上のシーンでは第二次ブリティッシュ・インヴェイジョンと呼ばれる程にヒットチャートシーンを英国のポップスバンドが占めていた。その裏ではベテランの元パンクバンドのストラングラーズが一聴すると表舞台に飛び出してもおかしくないくらいの革新的なサウンドを出していた。似ている部類で書けばデペッシュ・モードになるだろうから、どちらがシーンに登場してきてもおかしくなかったとすら思えるサウンド。ストラングラーズ的にはそれまでの変貌もあるのでこの音に辿り着くのも理解出来るから違和感なく聴けている。ただしこれがパンクスの奏でるサウンドかとなるとかなり異なるが、この頃を思えばどのパンクバンドも同じように無茶苦茶な進化系を辿っていたから不思議はない。

 デカダンなヨーロッパ美学の音から、エイティーズ的な音、と書いては失礼だろうが、歌メロ以外はそのシーンにあってもおかしくない革新的なサウンド。ただ、ジャン・ジャック・バーネルのベースがかなりヘンなので、一筋縄ではいかない。デイブ・グリーンフィールドの鍵盤も大活躍で、更にホーンセクションまでも取り込んでいる意欲作でもあり、スタンス的なパンクスタイルはしっかりとバンドの中に残っているように聞こえるのはヒュー・コーンウェルの存在感だろうか。どこまで行ってもやはり硬派なサウンドを出すバンドに変わりはないアルバム。





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フレ
Posted byフレ

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kameyama  
追悼 デイヴ・グリーンフィールド

いつもお世話になります。
今まで、Rockを楽しんできた中で、
自分自身が聞いてきたものを客観的に確認するととともに再構築をする上で、
いつも、楽しませて頂いております。
最近では、Fairport Convention~Sandy Dennyなど勉強させて頂きました。
このG.W.中は、BebymetalからDoorsに至り、
The Stranglers の記事を読みながらX-Certを聴いていたところ
新たに「Aural Sculpture」の記事が追加されていることを発見し、
デイヴ・グリーンフィールド氏が無くなったことを知りました。
The Stranglersのイメージを形づける大きな1つが聞けなくなったことは残念です。
昔、名古屋市公会堂で友人とともにThe Stranglersとステージに上げて頂いたことがよい思い出です。

2020/05/10 (Sun) 20:34 | EDIT | REPLY |   
フレ
フレ  
>kameyamaさん

おぉ…リアルタイムであのストラングラーズのライブに行ったのですか?羨ましすぎます…。
何をどれだけタラタラ聴いて書いてみても、「あのライブ行ったよ、ジャンジャックがさ・・」と言われたらもうね、絶対追いつけないですからね。

2020/05/18 (Mon) 20:38 | EDIT | REPLY |   

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