Emmanuel Booz - Clochard

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Emmanuel Booz - Clochard (1976)
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 フランスのプログレ、と書いてみるだけで70年代のプログレバンドの名が幾つか頭に思い浮かぶのもかなり重症だと自覚はあるが、だからと言ってエマニュエル・ブーズの名がすんなりと思い出せるほどだとは思わなかった。マグマ聴いてあの迫力と鬼気迫る積み上げコーラスに恍惚としていたらふと思い出してしまったのがエマニュエル・ブーズ。そこまで気を入れて聴いた事もなかったと思うが、聴いた時のインパクトが絶大だったから記憶にしっかり残っているらしい。そういえばアルバム何枚出してたのかと調べてみれば4枚もあったので、なるほど、取り上げていない作品もあるかと。

 フランスの産んだ奇才、Emmanuel Boozの1976年リリースの3枚目のアルバム「Clochard 」。超絶インパクトを放つ「Le Jour Ou Les Vaches」と「彷徨」の間にあるからか、割と地味な印象を受けるアルバムだが、全盛期のぶっ飛んだスタイルはどこも変わらず、ただバンドの音の方向性が破壊力に向いていないからかアルバムのパワーそのものは少々弱いかもしれない。ただ、それでも聴いてみれば同時代のバンドの比ではない程のぶっちぎり感は漂っているので、今の時代なら並べて聴いてみても面白さを感じられるだろう。ぶっ飛んでいるパワーは単純にエマニュエル・ブーズその人の歌い方や吐き捨て方で、演奏はどこに向くでもなく、ジャジーともファンキーともロックスタイルとも取れるプログレッシブな展開もあれば、スペイシーで演奏力を誇示するようなフュージョンチックな側面もあったりするので時代の狭間に出されているのは理解できる。それでも十二分に面白いので普通に聴いてて楽しめる。

 一方のエマニュエル・ブーズその人のクセの強いフランス語がオシャレ感ゼロの汚いフランス語のように吐き捨てられるのもあまり類を見ないスタイルで、どこかパンク的。同時代で見ればそういう言い方も許されるのかもしれないが、当然その波をナマで実感して取り入れたワケじゃなく、元々持っているロック感覚だろう。一方フォーキーな作風で歌い上げる楽曲もあるからよく分からない。ただ、一般的なフランスのサウンドからはマグマと共に逸脱した世界観を出している奇特なミュージシャンのユニークなアルバム。何でもアリだった時代の産物とも言える。







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フレ
Posted byフレ

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