Millenium - Ego

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Millenium - Ego (2013)
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 いつまで続くのか世界的パンデミック症候群による自由の圧迫。ふと思えば第二次世界大戦時の日本もこういう不自由さが渦巻いていたのかもしれない。恐怖感も似たようなもので、敵が見えない、戦いようがない、物資の不自由さも行動の不自由さも自分では如何ともし難い状況で政府に言われるまま従うのみの世界。現実そこまでの強制力はないし、もっと進んだ世の中だからオタクに楽しむ娯楽もしっかりとあるので比べ物にならないとは思うが、改めて自由な世界の良さを懐かしんでしまう。個人的にはそこまでも思わないが、かと言って楽観的に考えているものでもなく、どことなく鬱屈感は当然感じているものの、ただ基本オタク趣味だからまだそこまで切羽詰まってないのはある。生活面で言えばもしかしたら向上しているかもしれないし。

 ポーランドのプログレッシブロックの世界観を知ってからはあの緊張感の高さや悲壮感、さらにはロックに対する真摯さが自分的にはマッチする面が多く、幾つかのバンドは普通に何度も聴いて感動感心しているが、今回はMilleniumの9作目のアルバム「Ego」を取り上げておこう。特に意味もないが、このテンションの高さと美しさ、その影にある反骨精神的なロックマインド、ジェネシスフォロワーと片付けられない真摯なスタンスが自分には実に響く世界観。どのアルバムを聴いてもそのスタンスに変わりはないし、いつ聴いても惹かれる魅力を持っている。うるさいバンドではないし、ヘヴィなバンドでもない。プログレッシブと言われる程のプログレッシブな曲展開でもないが、本作では10分程度の曲が4曲を占めているように、訴えたい事や示したい音楽性やパフォーマンスへの想いが強いのだろう。

 その分聴いている側にもずっしりと響く重さ、ポーランドの歴史から生み出される深みだろうか、日本のプログレでも同じように感じる闇の部分がポーランド産になるともう少し見えてくる。ユニークなのは70年代の英国のプログレからの影響度に加えて昨今のヨーロッパのプログレ勢と合わせたサウンドで迫り来るあたりで、それがポーランド独自のサウンドでもなく、音楽自体は模倣感がある点だ。ただし、ポーランド風味に仕上がるのは民族性。日本のロックを思い出すとまるで同じ構造で成長していった事に気づくだろう。ポーランドのこの世界は正しくそれと同じく、模倣から変化と進化を加えて独自色を付けて成長している姿とも聴こえる。そんな姿を冷静には思い浮かべるものの、単純に出て来るアルバムの音に痺れている自分の感性もまた信じたい。

 多分名盤の域に入る作品だ。ただ、ミレニアムのこの時期のアルバムはどれもこれもこのクォリティを維持した素晴らしいアルバムばかりなので少々麻痺しているが、とにかく美しく重い。この美しさは他に比類を見ないレベルにあるし、英国ではこうは出て来ない音色もまた個性的。リバーサイドはもっと激しさが出て来るがミレニアムはそこに至らずに深みを増していくタイプか。ついつい聴き入って惚れ惚れしてしまう素晴らしいアルバム。





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フレ
Posted byフレ

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