KoRn - Life Is Peachy

0 Comments
KoRn - Life Is Peachy (1996)
Life Is Peachy

 ヒップホップ要素がロックやメタルの世界と融合してくるなどとは考えた事もなかった。ところがいつしかその類も普通に行われ、どころかラップ側もロックやメタルの要素を取り込んだ作風もアリになり、正にミクスチュアな世界観が築き上げられた。それから更に進化している現在、明確な線引きが出来ない部分はあるが、やはりそこまで全てが融合されているものでもなさそうだ。ただ、普通にそのエッセンスが曲によっては入り込んでくるのは当たり前になっているので、オリジネイター達の発想力は見事。昔々で言えばカントリーはいつまでもカントリーでしかないのだ、と何十年間も守られ続けた牙城がいつしか崩れ去ったと同様に、ヒップホップとメタルとパンクは全て融合されてしまった。純粋なそれぞれのサウンドは今やオールドスクール、レガシー対象となり、別の意味でリスペクトされている。

 KoRnの1996年リリースセカンドアルバム「Life Is Peachy」は製作期間が数ヶ月程度しか掛からなかったと言われているアルバムで、勢いそのままのヒップホップと破壊的パンクエッセンスとノイジーなメタルサウンドが一緒くたになって洪水のように押し寄せてくる傑作アルバム。この頃から超重低音サウンドを出し切っていたバンドはさほど多く無かったが、KoRnは7弦ギターと5弦ベースで重さを強調したヘヴィネスさを独特のサウンドの中で出してきている。反対にドラムのスネアは異様に軽いパーカッション的な音なのでうまい具合にバランスが取れている、または狂気を孕んだアンサンブルとも受け取れるバランス感。更にどこから聴いても悲しげにしか映らないボーカルスタイルがバンドの不思議さを物語る。病んでいる90年代のアメリカを代表するバンドになったのは偶然だろうか、それとも社会の象徴として巡り合っただけか。来歴見てても悲惨だし、ホントにアメリカってそういう所なのかと当時も映画見てて不思議に感じてたが、多分そういう所なのだろう。

 その病んだアメリカが産んだ若者の悲痛な叫びが見事に心の叫びと共にヘヴィヒップホップな重低音サウンドで迫り来る素晴らしきパンクなアルバム。キャッチーで聴こえが良いなどとは一言も書けないが、エネルギーがここまで溢れ出てくるからこそのロック、それこそがロックと言わんばかりのアルバムだから好みを超越して取り組んでみるべきバンドだ。以降のヘヴィロックのアルバムでKoRnの影響を受けていないバンドはほぼ皆無。それほどのある種の世界の基礎を創り上げてしまったバンド。





関連記事
フレ
Posted byフレ

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply