Altan - Red Crow

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Altan - Red Crow (1990)
ALTAN

 1990年前後は自分のロック趣味、音楽趣味的にはかなり充実していた頃で、時代的にはレコードからCDにどんどんとメディアが移されて、レコードで廃盤のものが続々とCDでリリースされたりした頃だ。併せて起きたムーブメントは幾つもあって、CD時代を迎えてのレーベルの多様化だ。そのおかげでメタルからマイナーな音楽まで含めてワールドワイドにレーベルを広げてみる事で新たな世界を知る事が増えた。これはレーベルが増えたと云うよりはそういうレーベルを知る機会が増えたからだが、そのおかげで素晴らしきアイルランドサウンドにも触れる機会が多くなったのは有難かった。

 グリーン・リネットなる弱小レーベルがちょうど日本にも入り始めた時期に、サンプル盤が幾つももらえたのでひたすら聴いていた。当時はそれがどういう経緯でのバンドなのか、アイルランド産と言えどもその由来はどういうトコロにあるのかなどまるで知る事なく、ひたすら音だけを聴いていたストイックな時代。そのひとつにAltanの1990年作4枚目のアルバム「Red Crow」があった。冒頭から完全にケルトミュージックそのままで、ロックの世界ではなかった。自分的にはこの時点ではワールドミュージック、民族音楽に手を出してしまったかとも思ったくらいだが、今思えば普通にポップスの範疇内に収まる音楽でもあろう。当然ながらアイルランド民族色が極端に強く、民族音楽と言われてもその通りなので、大してその境目に意味は無い。大きく異なるのは、ポップスやロックとの融合ではなく、民族音楽側からポップスをやや取り込んでみたら、というアプローチ故に、根が民族系。そこが大きく違うから面白くて新鮮だった。こういうのを子供の頃から聴いて身に染み込ませてロックをやるのだから、そりゃ現地の人間のロック感や出て来る旋律やメロディの根幹が事なるハズだと改めて納得。そしてそんな文化をも取り入れて自分的に理解したかったからかなりこの手のは聴いた。

 今ではアルタンも歴史の古いバンドだがこの頃はまだバンドが徐々に世界に進出している時期だ。それでも全米制覇など考える事もなかっただろうし、日本でもそこまで知られてはいない。しかし聴いてみると案外気に入る人も多いだろうし、こういう音色に惹かれる人も多いだろうと思う。今聴いても古臭く聴こえる事もないし、それよりも刺激の方が大きいと思う。こういうワールドミュージック的なサウンドをどれだけ聴いてロックに取り入れるか、と考えていたのもこの頃で、今思えば無謀な試みだったが、それをしっかり実現していたバンドもあったから才能と努力は必要。アルタンをきっかけに自分が聴く音楽の幅を広げられたのは良かった。





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フレ
Posted byフレ

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