Dear Mr. Time - Grandfather

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Dear Mr. Time - Grandfather (1970)
Grandfather

 何でも聴き漁っていると珠玉の宝石のようなアルバムに出会う事もしばしば。聴きながらもしかしてコレって相当名盤じゃないか、と自分なりに感じるので、世間の批評はと調べてみてもあまりそうは書かれていなかったり、そもそもレビューが少ないか見当たらないので自分の感覚がどうなのか、ちょいと不安にはなる。しかし自分が良いと思うならそれを名盤として聴き続ければ良いのだから、あまり気にする事もないだろう。そう思いながら自分なりの名盤を作り上げていくのも楽しい。

 Dear Mr. Timeなる英国のバンドの1970年リリースの多分唯一作「Grandfather」。アルバムはたった一枚しかリリースされておらず、その前にシングルが一枚出た程度。それでおしまいだが、アンダーグラウンドアルバムの名鑑に載るレベルの作品、バンドだと紹介されたりもする。自分的にも聴くのは随分と後回しだったが、聴いてみて何度も首を傾げたアルバム。どう聴いて良いか分からなかったから、だと思うが、それはトータルコンセプトアルバムの捉え方にマゴついたに過ぎない。久しぶりに聴いてみて思ったのは単純にThe Whoの「Tommy」と同じような作品だ、と。アルバムのレベルももしかしたら似たようなクォリティにあるかもしれない。一人の男の人生をモチーフに描かれたコンセプトアルバムなので、テーマも重さは違えど似たようなものだ。ここでThe Whoの「Tommy」を持ち出したのも、あのアルバムも普通にB級バンド的説明をするならば相当に苦労するだろうから。アコースティックにブラス、フルートの調べにロックバンド的ドタバタ感、効果的にメロトロンや歪んだギターの多様、壮大なるテーマソングありきのコンセプト作品。ひとつひとつの曲を切り取っても構成に捻りが見られる素晴らしき構築美。

 そう書いてもピンと来ないだろうからThe Whoの「Tommy」と同じように曲と物語がマッチしたアルバムに仕上がっていると思ってほしい。効果音の使い方も曲のスタンダードなロック目線、必要なサウンドの持ち込み、そして優しくも凶暴にもなれるボーカルスタイル。アルバムジャケットも大した事ないし、どう見ても低予算的アルバムに見えるが、収められている音楽は名盤の名に相応しい仕上がりだ。この手の音が好きな人には意外な作品に出会える良い機会だろう。





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フレ
Posted byフレ

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