D.Greenfield & J.J.Burnel - Fire & Water

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D.Greenfield & J.J.Burnel - Fire & Water (1983)
Fire & Water

 パンクロックは世間に衝撃を与えてひとつのジャンルを形成したが、音楽的な面から見たらなんだこりゃ?的な部分も多かろう。それでも打破して世間にアピールできてしまうのがロックの面白さだが、中でも音楽的に秀でた連中もいたから更に面白くなる。70年代の初期パンクの流れに組み込まれるThe Stranglersはパンクロックの中にあって文学的、音楽的面が上品な事もあって少々異質感のある、言い換えれば貴族的パンクとでも言うのか、一味異なる雰囲気を持ったバンドだった。そこでの筆頭格はヒュー・コーンウェルとジャン・ジャック・バーネル。特にジャン・ジャック・バーネルのベースラインは明らかにパンクの概念をぶち壊してくれている。その意味ではジョン・エントウィッスルも同じだったが、ベースの面白さをここでもまた見せつけてくれていた。

 アルバムは1983年にリリースされたJ.J.BurnelとD.Greenfieldのストラングラーズのベーシストと鍵盤奏者による映画のサントラ「Fire & Water」を聴いている。この映画、結局完成することなく公開もされていないようなので、音楽だけがこうして残されている形になるが、ストラングラーズのこの二人によるサントラというのもまた意味深。1983年のストラングラーズは丁度無機質なサウンドに転換している頃で、バンドとしても充実した時期にあったから元々はストラングラーズへの依頼だったのかもしれない。都合付かず、かサントラに興味なしと他メンバーが参加しなかったのか、理由はいろいろ考えられるが、本作を聴いているとストラングラーズでやってもおかしくない楽曲群が揃っている。ユニークなのは一曲マギー・ライリーが参加している点で、ストラングラーズのあのサウンドにマギー・ライリーの歌声とはどういう風になるのだろうと興味深かったが、聴いてみてなるほど、こう来たか、と納得。綺麗なメロディラインを上品に歌い上げる印象の強いマギー・ライリーの歌唱からはかけ離れたボイス的使い方で登場させるとは双方よく納得したものだ。マギー・ライリー側は面白いかも、というチャレンジ的発想だったのかな。

 アルバム全体はこの頃のストラングラーズでも聴けている無機質的サウンドが延々と展開され、デイブ・グリーンフィールドが全面に出てのムード作りを担っているようだ。ジャン・ジャック・バーネルはそこまでベースをブリブリとは弾いていないが、相変わらずの太い音で作品の不気味さを演出している。自分でも驚くが、この手のサウンドを普通に惹き込まれるように聴けているのはどうしてだろう?作品の質が高いのか、どこか魅力的な面があるのか、面白さがどんどんと募って聴いている。ギターも無いのに…、意外と良い作品。





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フレ
Posted byフレ

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