John Entwistle - Rigor Mortis Sets In

0 Comments
John Entwistle - Rigor Mortis Sets In (1973)
死後硬直(紙ジャケット仕様)

 ロックの世界のベースマンも数多くいるが、殊更にベースマンのアルバムを聞きまくる程には聴いていない。どうしたってバンドの中のベースマンの位置付けだからこそ目立つ方が大きく、楽曲の良さやベースの活かされ方が異なるからだろうか、ベースの目立つベースマンのアルバムはさほど多くなさそうだ。それでも恐るべしベーシストとして知られている人はソロアルバムを幾つもリリースしているので、ふと思い出したのがジョン・エントウィッスル。この人の場合はThe Whoで存分にベース弾きまくってたので、ソロアルバムだからベースマンアルバムというようにはならず、自分の昔から好きなロックンロールを自分でやりたいという趣向からの作品ばかりだ。それでもベースのミックスが実に大きく、更に歌ってもいるから好きで趣味で作ってます的要素が大きい。本人に言わせるとThe Whoのアルバムはベースを録音したらもうヒマだからソロアルバムを作ってるという話。The Who活動期にソロアルバム何枚も出してるのはそういう話なのかと。面白い人だ。

 John Entwistleの1973年リリースの三枚目のソロアルバム「Rigor Mortis Sets In」。この人の趣味センスは常人からちょいとズレていて、いつも妙な所に着眼している。蜘蛛やお墓…、単語で書くとそうでもないが妙なセンスの人だ。このアルバムも邦題は「死後硬直」と直訳してみれば妙なセンスも分かるだろう。客寄せのためのヘンさでもないので、実際趣味だと思う。The Whoのサンダーベースと讃えられたベースマンのソロアルバムなので、弾きまくりを期待したいが、毎度の事ながらオーソドックスなR&Rが繰り広げられる。幾つかのカバー曲と自身の作品だが、それも安直なR&R風味なスタイルで、どこかに目立つポイントがあるようなソロ作品でもない。ホント、ヒマに任せて空き時間に趣味で作ったのかもな、と思えるようなアルバム。

 ただ、それでも全盛期のジョン・エントウィッスルなので、しれっとさりげなくドライブしたベースラインをブリブリと弾いているのはさすが。そうして耳を傾けると音色の太さも目立つし、当然ながらいつもThe Whoで聴けるジョン・エントウィッスルの音。歌も自身で歌っているが、割とクセのある歌声なのでこれはこれでB級バンドでもやってたらなかなかクセのあるボーカルだったかもしれない。しかしまぁ、ヘンなタイトルも多いし、「Mr Bass Man」なんて古い古いR&Rのカバー楽曲を持ってくるあたりもユニーク。ベーシストのソロアルバムだから、という狙いで聴いてはいけないが、普通にR&Rバンドの作品として聞けば…、そうでもないか。やはりThe Whoのベーシストのソロアルバム、だ。「My Wife」が出てくるとホッとする部分はあるものの、The Whoバージョンと大差ない出来映えなので、これはこれで困る。



関連記事
フレ
Posted byフレ

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply