Traffic - Last Exit

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Traffic - Last Exit (1968)
Last Exit

 60年代末期には立ち位置が微妙なバンドが多数乱立してて、それでもひとつのムーブメントが生まれていたから若者の熱気に加えてのミュージシャンの発掘も随分と進んでいた。そこかしこから才能ある若者達がバンドを組んでレコードデヴューした。今でもそれくらいの才能の数々はいるのだろうが、そこまで売り物にならないからか取り沙汰される事も多くない。しかし、この時代は何でもありだった。だからこそ聴いていても面白いし、凄さを実感することも多い。スティーブ・ウィンウッドの才能は今に始まった事でもないが、改めてこうして聴いていると圧倒的な凄さを感じられる。

 Trafficが唐突に解散してしまった事から慌てたレコード会社が、もしくは事務所が契約遂行のためにリリースした1969年リリースの三枚目の作品となる「Last Exit」。これまでのB面曲と未発表曲、更にライブレコーディング素材を詰め込んでアルバムとしての体を為した。ところがアルバムとして聴いていると、これが相当にレベルが高く、寄せ集めなどとは信じられない作品に仕上がっているから面白い。何よりもスティーブ・ウィンウッドの歌声の凄さに尽きる。そのくせ歌がない曲もあるので寄せ集め感は分かるが、それでも普通にロックらしい作品が立ち並ぶ。トラフィックを一言で語るのは実に難しいが、ひとつにはスティーブ・ウィンウッドの歌声を武器にした多国籍サウンドを奏でると言えようか。正にブリティッシュ・ロックとしか言えないが、デイブ・メイソン、ジム・キャパルディ、クリス・ウッドと名の知られたメンツが一同に介したバンドである事からその融合姓は想像できるだろう。

 本作は上記理由からアルバム収録時間が実に短い。A面5曲で17分、B面ライブ2曲で17分、合計34分。それでアルバムとして体裁を整えているが、聴き応えたっぷり。特にライブの上手さと熱気が、ロック魂を奮い立たせてくれるし、ウィンウッドの歌も絶好調で、ホント、黒人並みのソウルフルな歌を楽しませてくれる。メイスン不参加なためにギターなしの3人で演奏しているのもどういう状況だったのかとは訝しむが、時代的にはそういうものだったのだろう。そんなギャップを埋めるかのような3人のパフォーマンスの熱さをこの音源で測ってみると面白い。ここでもやはりスティーブ・ウィンウッドが抜きん出ている。そんなバンドに嫌気が差したのか、そのままブラインド・フェイス結成へと動いてしまうのも分かる気がする。





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フレ
Posted byフレ

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