The Who - Quadrophenia
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The Who - Quadrophenia (1973)


The Whoとジミヘンは所属会社が同じだった事もあってちょこちょこと顔を合わせていた事も多かったようだ。ジミヘンのライブを見たピートはあんな天才に敵うはずがない、と自覚したと云うから面白い。ピート・タウンジェンドが敵わないなどと思うほどの天才は果たして凡人からしたら区別できるだろうか?恐らく難しいだろう。天才ピートはさらなる天才を見てそう思ったらしいから、恐れ入る。ジミヘンに負けないために派手に楽器をぶっ壊したライブステージを繰り広げたモンタレー、対するジミヘンはThe Whoの後の出番で何すりゃ良いか散々悩んだらしいが、結局ギターに火を放った事でThe Whoよりも目立てたというお話。とんでもない時代だ。
The Whoの1973年リリース作品「Quadrophenia」。今更何を書く事があろうか。ロック史の中で燦然と輝く超名盤。聴いていない人がいればすぐ聴いてくれ、と言いたいし、聴き飽きた人がいるならどこが飽きるのだ?と訊きたい。冒頭の「I'm the Sea」からして壮大なる大海原から押し寄せる波の音に紛れるアルバム随所に散らばるロジャーの叫び声、どんよりとした英国の曇り空の中で見る波打ち際に想いを馳せながら、「Can see the real me」と始まり右チャンネルからはジョン・エントウィッスルのぶっ飛びのリードベース、左チャンネルからはピート・タウンジェンドのザックザクのコードギター、真ん中はキース・ムーンのドタバタドラムが鳴り響くとんでもない迫力でスタート。ここでもう痺れまくる。単調な楽曲なのにこの味わい深さ、そして全盛期バリバリのバンドの演奏力が正にこれぞロックと言わんばかりに攻め立ててくる。かと思えばテーマ曲ともなるアルバムタイトル曲でインストが穏やかに鳴り響き、ストリングも含めたその美しさが心に染み入る。このギャップが素晴らしく、The Who、ひいてはピート・タウンジェンドという人間の奥深さを、繊細さを物語っている。ストーリー仕立てによるコンセプトアルバム、ロックオペラ作品と言われるが、それもありつつ単に楽曲のレベルの高さ、アルバムとしての完成度の高さとして聴いていても最高峰の作品。ロック、ハードロックさ加減と繊細な音使い、ロジャーのボーカルにしてもただワイルドなだけでなく表情が見えるようなスタイルの変化を味わってほしい。ピート・タウンジェンドが歌っているキャラの違いもアルバムの色付けを手伝っている。うるさいだけのキース・ムーンも楽曲に馴染んだセンス抜群の、そして自身の個性はきちんと壊さずに馴染ませている天才肌。
冷静に聴いていると、明らかにギターで作っている曲とピアノで作ってるのだろうというキーが混じっているし、それでいてギターでそのコードを弾きまくるという不思議なセンスもピート・タウンジェンドならではの技。美しき楽曲群は概ね壮大感を目指して出来上がったのだろう、何を夢見てこういう音楽に出会えるのか、見事にストーリーから見ても、そして音楽から見ても終盤になればなるほどに盛り上がり、最後の「愛の支配」など涙なしでは聴けない楽曲だ。このアルバムは冒頭から最後まで一気に聴かないといけない。途中途中の曲を幾つかという聴き方でもカッコ良さは変わらないが、アルバム全編を聴いての感動は他では味わえない。自分が70年初頭の、もしくは60年代のロンドンに降り立っている感覚になれる。イメージは映画「さらば青春の光」の様相、なんと羨ましくも素晴らしき時代。いつだってそういう世界に戻れる、戻してくれるアルバム。そして圧倒的にロック。
The Whoが復活する度に「Quadrophenia」は何度も再演され、趣向を変えライブでも繰り広げられた。現役時代はなかなか難しかった事が後の時代になって出来るようになった。それを見たり聴いたり出来るのだから有り難い。それでも本作に記録されたスタジオバージョンの美しさに敵うことはない。どのライブであってもやはりこの繊細さと美しさは出し切れないようだ。ロックバンドはライブがメインと言いつつも、こういう作品となればそうも言っていられない。再発でデモテイク集含めてリリースされているが、それもまたいつものようにピート・タウンジェンドの完璧主義が分かるデモなので、これだけの作品がどうして出来上がるのか、どうやれば出来るのかの一端を聴けるのは面白い。とは言ってもバンドで演奏していない、と云うだけで楽曲は既にデモ段階で全て出来上がっているのだから恐ろしい。正に天才。それでいてライブではあのワイルドさなのだから二面性のある人だ。
年数回以上は聴くアルバムなので今更な部分もあるが、いつ聴いても、そしてじっくり聴けば聴くほどに細部の作り込み具合の素晴らしさと野性味が同居している姿に感激する。そんな粗探しをしなくても普通にこの楽曲のパワーと素晴らしさに感激し始めるのだから、よほど好きなようだ。自分がこれまで聴いた事のあるアルバムの中で恐らくはトップ3には入るアルバムのひとつ。大音量で聴けば聴くほどに感動は大きくなる。流石だ。
The Whoとジミヘンは所属会社が同じだった事もあってちょこちょこと顔を合わせていた事も多かったようだ。ジミヘンのライブを見たピートはあんな天才に敵うはずがない、と自覚したと云うから面白い。ピート・タウンジェンドが敵わないなどと思うほどの天才は果たして凡人からしたら区別できるだろうか?恐らく難しいだろう。天才ピートはさらなる天才を見てそう思ったらしいから、恐れ入る。ジミヘンに負けないために派手に楽器をぶっ壊したライブステージを繰り広げたモンタレー、対するジミヘンはThe Whoの後の出番で何すりゃ良いか散々悩んだらしいが、結局ギターに火を放った事でThe Whoよりも目立てたというお話。とんでもない時代だ。
The Whoの1973年リリース作品「Quadrophenia」。今更何を書く事があろうか。ロック史の中で燦然と輝く超名盤。聴いていない人がいればすぐ聴いてくれ、と言いたいし、聴き飽きた人がいるならどこが飽きるのだ?と訊きたい。冒頭の「I'm the Sea」からして壮大なる大海原から押し寄せる波の音に紛れるアルバム随所に散らばるロジャーの叫び声、どんよりとした英国の曇り空の中で見る波打ち際に想いを馳せながら、「Can see the real me」と始まり右チャンネルからはジョン・エントウィッスルのぶっ飛びのリードベース、左チャンネルからはピート・タウンジェンドのザックザクのコードギター、真ん中はキース・ムーンのドタバタドラムが鳴り響くとんでもない迫力でスタート。ここでもう痺れまくる。単調な楽曲なのにこの味わい深さ、そして全盛期バリバリのバンドの演奏力が正にこれぞロックと言わんばかりに攻め立ててくる。かと思えばテーマ曲ともなるアルバムタイトル曲でインストが穏やかに鳴り響き、ストリングも含めたその美しさが心に染み入る。このギャップが素晴らしく、The Who、ひいてはピート・タウンジェンドという人間の奥深さを、繊細さを物語っている。ストーリー仕立てによるコンセプトアルバム、ロックオペラ作品と言われるが、それもありつつ単に楽曲のレベルの高さ、アルバムとしての完成度の高さとして聴いていても最高峰の作品。ロック、ハードロックさ加減と繊細な音使い、ロジャーのボーカルにしてもただワイルドなだけでなく表情が見えるようなスタイルの変化を味わってほしい。ピート・タウンジェンドが歌っているキャラの違いもアルバムの色付けを手伝っている。うるさいだけのキース・ムーンも楽曲に馴染んだセンス抜群の、そして自身の個性はきちんと壊さずに馴染ませている天才肌。
冷静に聴いていると、明らかにギターで作っている曲とピアノで作ってるのだろうというキーが混じっているし、それでいてギターでそのコードを弾きまくるという不思議なセンスもピート・タウンジェンドならではの技。美しき楽曲群は概ね壮大感を目指して出来上がったのだろう、何を夢見てこういう音楽に出会えるのか、見事にストーリーから見ても、そして音楽から見ても終盤になればなるほどに盛り上がり、最後の「愛の支配」など涙なしでは聴けない楽曲だ。このアルバムは冒頭から最後まで一気に聴かないといけない。途中途中の曲を幾つかという聴き方でもカッコ良さは変わらないが、アルバム全編を聴いての感動は他では味わえない。自分が70年初頭の、もしくは60年代のロンドンに降り立っている感覚になれる。イメージは映画「さらば青春の光」の様相、なんと羨ましくも素晴らしき時代。いつだってそういう世界に戻れる、戻してくれるアルバム。そして圧倒的にロック。
The Whoが復活する度に「Quadrophenia」は何度も再演され、趣向を変えライブでも繰り広げられた。現役時代はなかなか難しかった事が後の時代になって出来るようになった。それを見たり聴いたり出来るのだから有り難い。それでも本作に記録されたスタジオバージョンの美しさに敵うことはない。どのライブであってもやはりこの繊細さと美しさは出し切れないようだ。ロックバンドはライブがメインと言いつつも、こういう作品となればそうも言っていられない。再発でデモテイク集含めてリリースされているが、それもまたいつものようにピート・タウンジェンドの完璧主義が分かるデモなので、これだけの作品がどうして出来上がるのか、どうやれば出来るのかの一端を聴けるのは面白い。とは言ってもバンドで演奏していない、と云うだけで楽曲は既にデモ段階で全て出来上がっているのだから恐ろしい。正に天才。それでいてライブではあのワイルドさなのだから二面性のある人だ。
年数回以上は聴くアルバムなので今更な部分もあるが、いつ聴いても、そしてじっくり聴けば聴くほどに細部の作り込み具合の素晴らしさと野性味が同居している姿に感激する。そんな粗探しをしなくても普通にこの楽曲のパワーと素晴らしさに感激し始めるのだから、よほど好きなようだ。自分がこれまで聴いた事のあるアルバムの中で恐らくはトップ3には入るアルバムのひとつ。大音量で聴けば聴くほどに感動は大きくなる。流石だ。
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