Eric Gales - The Bookends

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Eric Gales - The Bookends (2019)
Bookends

 古いブルースを漁っているとどんどんと古くなっていく一方で、果たして今、自分はこういうのを聴きたいのか?と自問していくハメになる。いや、多分そうじゃないんだ、こっから発展したブルーススタイルに刺激を受けるべきなのだ、と気づく。だからルーツ漁りはハマってても良いけど、どこかで戻って来ないと飽きてくる。大体がブルースルーツなんて同じようなものばかりになってくるのだから、飽きるに決まってる。そうするとイメージも悪くなるから次に漁った時に敬遠しちゃう。それもよろしくないし、そもそもそういう世界なのだから自分の聴き方が悪い。そして一気に今の時代に戻ってみた。

 Eric Galesの2019年リリース作品「The Bookends」。どうにもボーカルスタイルに気合を入れた一枚との事で、そもそもギターはもうかなり弾ける部類に入っているから、そこから飛躍するには、と考えた時にボーカルスタイルも強化して更に高みに登りたいと。素晴らしい発想だ。そもそも16歳でデビューして今に至るのだから、すでにキャリア25年以上のブルースメン。今じゃもうブルースに拘ることなく、どんなスタイルでも吸収しているから本作でも、ブルースアルバムという枠組みは大幅に超えていて、それどころかコンテンポラリーな作品に仕上がっている。そのヘンはGary Clark Jr.あたりも同様だが、黒人独特のリズムや音感、旋律を全部ひっくるめて自分のフィルターを通してアルバムとしてリリースしている感じ。だから超個性的に尖っている。素人がちょっと聴いただけでも斬新に映るし、楽しく聴ける要素が大きいから。自分みたいに偏った人間が聴いてても、入ってくるギタープレイがブルースに根差した個性なので、どんだけ曲が今どきの作風になってても、そのギタープレイで耳が戻される。そうするとアレンジのポップさはさほど気にならなくなるという便利な耳しているし。

 要は現代アーティストと言うことだ。ブルースに根差しているが、刺激的な要素を全て取り込み保守的ブルースな世界から逸脱した世界を作っている。そういうミュージシャンがブルースに拘るのも面白いが、時代は進んでいくのだなという実感がある。ボナマッサみたいな融合もあればこういう融合を実現している人もいる。エリック・ゲイルズのアルバムには大抵友人達が参加してくるが、今回はドイル・ブラムホール2世とベス・ハートという布陣で、これまた渋いトコ呼んできます。特にベス・ハートはビートルズの「With A Little Help My Friends」を歌っているから面白い。そもそもソウルフルな歌声を武器とする彼女が歌うのだから、一気に曲が重くなる。リスナーはジョー・コッカーバージョンとの比較を意識するが、それも昔。単純にベス・ハートのスタイルが圧倒的個性を放った作品になってて、アルバムの中で異世界を築いてくれる。素晴らしい。





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フレ
Posted byフレ

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