The White Stripes - Elephant

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The White Stripes - Elephant (2003)
Elephant

 類まれなる天才を感じる作品は常人が聴いているとちょっとヘン?って思えるフシがあるのも確か。だからロックの世界で突出してオンリーワンな人やスゲェ…ってのは大抵天才の作品だったりプレイだったりする。一方そこまででもないが、やたらと上手い人と言うのもいるので、そのヘンは勝手な解釈ながら聴いている。でも発想力のぶっ飛び具合からしてアーティスティックな人は凄いもんな。そういう意味でも思い出した人がジャック・ホワイト。今はソロで活動しているのかな。シーンに登場してもう20年近くになろうとしている人だから今や昔、かもしれない。

 The White Stripesの2003年リリース4枚目の作品「Elephant」。まさに絶頂期でもあったアルバムながらもロンドンレコーディング、且つとてつもなく古い録音機材、もちろんアナログテープでの録音に拘り徹底してそれしか使わなかったと言うから凄い。二人しか居ないメンバーなのに、その二人でほぼすべてを録音している、しかもメグはドラムと歌だけで他にはしていないからジャック・ホワイトの単独、文字通り一人で作っている作品。それだけならスタジオオタクでもできるだろうが、ここで凄いのはライブでもこれを二人で演るという前提での演奏でなければいけないから、無駄な音が入れられない。それでいてその時代でも受け入れられる音であるべき、という無茶苦茶なハードルをすべて超えてしまった天才の作品。ギターでこういうベース音も出るのか、という発見もあるし、ギターの幅広さも実感。不思議なのはメグのドラムのガレージセンス。彼女は決してプロフェッショナルなレベルのドラマーではないし、そこを目指してもいない。ただ、ジャックについて行くからというレベルで始めたドラムだろう。それでも唯一無二の個性を出している、ある種そういう人はプロの世界には極小だからだろうか。ジャックのドライブ、グルーブにはしっかりと合わせていってるから妙なチームワークで楽曲を活き活きとさせているユニークなスタイル。もしかしたら天才かもしれん。

 さてこの「Elephant」アルバムは4枚目ともなるので、かなりこなれている節も大きい。売れたから自由に出来ているのもあるだろうが、ジャック・ホワイトがやってみたい事全てが出来ている作品でもあろう。ギター一本とドラムと歌でここまで出来るものか、という極限、それでいてロック。当然ベース音がボトムまでは来ないから抜け感はあるが、だからどうした、そういう音など聴いた事ないだろ、と言わんばかり。曲のレベルの高さもキャリア一番じゃないだろうか。全くの名盤として讃えられるガレージブルース・ロック作品。メグの歌声も儚いアクセントを出していて、ブルースながらも妙な雰囲気が出されていてユニーク。こういう斬新な発想がロックを創り上げている。久々に聴いててものすごく馴染むロック、ガレージ感覚で、60年代のブルース聴いてる気になるもん。これは残されていく作品だろう。



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フレ
Posted byフレ

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