Jethro Tull - This Was

とっつきにくいバンドのひとつとして良く挙げられるジェスロ・タル、それは日本だけだろうか。コレと言った方向性や知られるジャンルの中に収まらない音楽性が故に形容し難く、何みたい、とも言えず、独自の方向性を展開しているバンド。ところが欧米諸国へ行くとZeppelin並みの人気を誇ったと云うから如何に音楽センスが異なるかが分かる。自分でも同じように、さほど得意とするバンドではないが、そういう背景を知っているからきちんとチャレンジして取り組まないと、ってのもあって割と事ある毎に聴いている。ただ、今でもなかなかきちんと理解はしていないし、アレがコレが好きという話が出来るレベルにはないので、難しい。音楽だから楽しけりゃ良いだけなのに、どうしてもそういう取り組みしてしまう時点でダメかもな。
Jethro Tullの1968年デビューアルバム「This Was 」。このアルバムだけミック・エイブラハムとイアン・アンダーソンの双璧バンドとして成り立っている作品。次作からはミック・エイブラハムは脱退してマーティン・ベレにギターが交代しているし、イアン・アンダーソンの天下となっているから、その意味で唯一、イアン・アンダーソンが支配していないジェスロ・タルのアルバムにもなる。その成果はアルバムを聴けば一目瞭然で、ミック・エイブラハムのブルース好きなギタープレイが存分に発揮されているからイアン・アンダーソンの作風に泥臭さが残される。一方のイアン・アンダーソンはフルートで色付けをして個性豊かに楽曲を彩っているのと、ボーカルスタイルも何気に個性的でソフトな歌い方で聴きやすい。そんな両者の融合が見事に放たれている作品として聴けば、このファーストアルバムはかなりの傑作として聴ける。
今でもこのバンドの音を語るのは難しい。ブリティッシュ・ロックそのまま、とは云われるが、それがどういう類なのだ?となるし、ブルースもジャズも、そしてフルートによる旋律もあるし、英国トラッド的側面も流れているし、まったく今に至るまでこんなバンドは他には居ない。ただ、奥深い音が詰め込まれているから自ずときちんと聴きたくなるし、聴き込みたくもなる。アルバム単位で進化を追う場合はその作風の変化が分かりやすいが、本作はやはり異質。ずっと聴いて、そしてまたここに戻ってくるとその違いが何となく分かるかも。ミック・エイブラハムのギターがかなりの職人芸なので、ギター好きにも聴いていると楽しめる傑作アルバム。
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