Brand X - Livestock

英国ジャズ・ロックとして名高いバンドのひとつでもあり、フィル・コリンズ在籍も話題のひとつとなっていたBrand Xは、割と安定的な活動を行っていたし、アメリカでフュージョンが出て来た頃に英国のフュージョンバンド的な位置できちんとシーンに存在していた。さすがにフィル・コリンズがジェネシスで忙しくなってくると脱退してしまったが、このバンド的には話題性に欠ける事になった程度でドラムとしては新たな血を入れての活動で頑張っていた。主役はパーシー・ジョーンズのベース…ではなく、ジョン・グッドソールのギターのハズだ。楽曲によって異なるが、バンドアンサンブルが見事なのでついついアルバム丸ごと聞き入ってしまうバンド。
Brand Xの1977年リリースのライブアルバム「Livestock」。初期二枚作品から選曲、と言いたいところだが、全5曲中2曲は未発表曲と言うから面白い。ライブで曲を鍛え上げていたバンドだったのか、セッション活動から生まれてきた作品が多かったのか、バンドが上り調子にあった証明でもある。緻密な音色の組み合わせにそれぞれが絡み、緊張感を高めたライブを眼の前で聴いているかのような作品。やはりパーシー・ジョーンズのベースが凄い。ドラムもギターも素晴らしいが、フィル・コリンズのドラムはロールするってのかな、躍動感による表現力が実に豊か。この手のバンドのドラムは割とかっちりタイトに、というタイプが多い気もするが、フィル・コリンズやロバート・ワイアットは躍動感ある柔軟性の高いドラムを聴かせてくれる。抑揚溢れる、と言うのかな。面白いのはパーシー・ジョーンズのベースが妙にクールだからその組み合わせの妙も味わえる点。
ジャケットはどっからどう見ても、そして誰が見てもヒプノシスって分かるでしょ。ライブアルバムという印象をまるで与えない、ひとつの作品として見てしまう摩訶不思議なアート。その中にこんなに素敵で軽快でクールなインストジャズ・ロックサウンドが収められているなんて、普通は思わないだろう。爽やかではないフュージョン、クールなフュージョン、テクニカルなフュージョン、それも実はロックバンド、という不思議を表現するのには良いアートか。
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