The Pineapple Thief - Magnolia

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The Pineapple Thief - Magnolia (2014)
Magnolia

 ロックは面白い。歴史を通じて色々な音楽が生まれては消え、それを体系化理論化したひとつの学問まで祭り上げられていたのに、ロックはその理論を平気でぶち壊す。ぶち壊すだけならともかく、それがまた新しい理論へとつながる壊し方もあるのだから困る。おいそれとロックをバカにも出来ずに注目している部分もあるという始末。だから歴史と同じく常に音楽の教科書が書き換えられる部分のほんの一端を担っているのかもしれない。…とは言え、ほとんどがそんな突拍子もないものではなく、普通に当て嵌まる音ではあるが。

 The Pineapple Thiefの2014年リリース作品「Magnolia」。ふとこの手のを聴きたくなって、ブログに未登場のアルバムを聴いていたが、すでにこの時点で10枚目のアルバムだと云うから相当にベテランバンドの域に入っているパイナップル・シーフ。ポストロックとプログレの融合と騒がれ、ポーキュパイン・ツリーと二分する重要バンドとも云われているが、自分的にはこちらの方が聴いた回数は多い。たまたま知ったのがこちらからだったというだけだが、不思議な浮遊感と陰鬱感が心地良いので落ち着いて聴ける。それでいてロックらしさもしっかりと持っているから軽くはないし。どこがプログレなんだろ?って思うくらいにはヘンな拍子が目立つものでもないが、鍵盤が白玉鳴らしてるのは確かに叙情性が高いし、ムード、雰囲気をたっぷりとカマしてくれるのもプログレか。ギターにしてもハッとするようなトーンでメロディアスに旋律を奏でてくれるのもフロイド的。なるほど、要素としてはプログレ路線を持ち込んでいるが、出してる音そのものはいわゆる英国のロックサウンドに合わせているというトコロか。素晴らしい。

 この「Magnolia」というアルバムはパイナップル・シーフのアルバムの中でもかなり良作の部類に入るようで、そりゃこれだけの作品なら高いレベルにあるだろうよ、と言うのは聴いてて分かるし、実際見事な出来のアルバムだと思う。この陰鬱さとロックのバランスがこの辺りに保たれているトコロが英国か。他の国だともっとどっちかに振れてしまうから、絶妙なバランス感覚の作品。だからこその傑作と云われるのだろう。バンドの迫力も十二分に感じられるしベテランの余裕と自信もしっかり溢れているし、スキのない傑作アルバム。



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フレ
Posted byフレ

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