Patti Smith - Gone Again
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パティ・スミス
同じアメリカの女性シンガーでもこれほどまでに指向性方向性表現力などなどが全く異なる唯一無二の存在という人も珍しい。パンクの旗手と言われることもあるし実際パンク的な要素を持った作品で世に出てきたということもあるのだが、それよりも何よりも彼女は詩人であり、パフォーマーであった。そして赤裸々に自身のありのまま生きている、そんな人だと思う。70年代から80年代にかけての作品についてはまたおいおい進めていきたいなと思ってるけど、それよりも1996年に久々にシーンに復帰するということで話題となった「ゴーン・アゲイン」と言う作品がかなりインパクトを放っていて重い作品。そしてその後すぐに初の来日公演を果たしたので、イソイソと見に行ったものだ。70年代の頃のイメージで見に行ったものだが、当然そうはならず、もっと重みのある、そしてエネルギーに満ち溢れた、そして悲愴感漂うものだったけど、でも彼女のスピリットは思い切りヒシヒシと伝わってきた、えらく疲れるライブだった思い出があるな。
「ゴーン・アゲイン」=「また行ってしまった…」。タイトル通り友人や家族が立て続けに逝ってしまった時期、一度は挫折しながらも完成させて世に出したいわゆる復帰アルバム。復帰というには重い環境ではあったがその時の状況が赤裸々に描かれていて、それが音にまで反映されているという、決して軽々しく聴いてはいけない作品。ファーストアルバム「ホーセス」のジャケットを撮影したロバート・メイプルソープ氏が亡くなったのを筆頭に、元バンドメンバーのドラマーを亡くし、更に自分の夫であるフレッド・スミス氏を亡くし、同年、自分のローディを務めていた実弟を亡くす…。しかしディランからツアーの前座という声がかかり復帰に向けて人生のコマを進めていったことで赤裸々な想いが集約されたのがこのアルバム。だからはっきり言って滅茶苦茶暗いし重い。ただ、凄く響くアルバムで、元々彼女の作品は好きだったからこういう方向性のアルバムが出てきてもおかしくないし、リリースされた当時はそれこそこの音とその深さにハマって聴いたアルバムだなぁ。曲として云々っつうよりもアルバム全体での重さがね、好きって言ったらおかしいけど荘厳な雰囲気を醸し出してる。
パティ・スミスの作品で他人に薦めるんだったら多分このアルバムを選ぶ。ファーストの「ホーセス」も良いけど、それよりも人生の重みを吐き出しているこのアルバムの方がロック魂を持っているか否かってことがよくわかっちゃうんじゃないかな。嫌いな人も多いだろうけど、それでも作品としての価値は認められるものだろうと思うしさ。まぁ、音楽なんて他人に薦めるものではないが…。そんなパティ・スミス
この人、確かまだDVDとか映像作品って出してないんじゃないかな。ライブDVDとかもないし、もちろんライブアルバムもないし…、今の状況でのライブとかリリースされないのかなぁ…。そろそろ歴史を振り返る意味で出してくれても良いと思うんだが。


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