Beth Hart & Joe Bonamassa - Don't Explain

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Beth Hart & Joe Bonamassa - Don't Explain (2011)
Don't Explain

 アメリカのロック系統はさほど入れ込む事もないが、ブルース系統は当然オリジナルなアメリカ黒人系を聴き漁る。今の時代になると、英国もアメリカもロックもブルースも入り混じっての影響を受けた世代がブルースロックというひとつの方向性で何人もひしめいてて、それがまた皆が皆色々な事にチャレンジしていて面白い。その辺のシーンはロックとは別に、ブルースの発展形、ホワイトブルースの進化系として興味深く、好みでもあるのでそこそこ追求したり探索したりして楽しんでる。中でも目立つ存在というのは何人かいて、そのウチの一人がジョー・ボナマッサだ。何とも器用なギタリストで、新たなるチャレンジに全く物怖じすること無く突き進んでいるセンスも素晴らしい。その中のひとつに2011年の自身のアルバム「Dust Bowl」にゲスト参加してもらったベス・ハートとのジョイントが気に入ったようで、ぜひ一緒に、と決まってやってみたアルバムがコレ。

 「Don't Explain」、2011年リリース作品で、ジョー・ボナマッサはギタリストに徹している。当然ボーカルはベス・ハートだが、彼女も90年代半ばからシーンに登場して地道に歌い続けている本格派ブルース、ソウル、R&Bシンガーだ。さほどシーンでその名が浮上する事も無かったのがここに来て静かに実力が知れ渡ってきたか、結構なシーンで歌っている事も実は多い。スタイル的にはアレサ・フランクリンやエタ・ジェイムスのような太い声で腹の底から出してくる歌声を武器としている。だからブルースともロックとも実は相性良くて、しかもその本格的なスタイルから重さや貫禄も感じられるから歌声は軽くない。ジョー・ボナマッサは恐らく自身の歌声が軽い事を知っているから、そこが面白くてベス・ハートのこの本格的な歌声に魅力を感じたのだろう。そんな経緯で出会いを果たしてそのまま一気にアルバム制作へと突き進んだ作品。

 こうなるともうオリジナルをわざわざ作ってと考えなくて良いからか、全曲カバー。ただ、どれもこれも原曲のアレンジなど全く留めていないくらいにアレンジされているのでほとんどオリジナルのようなものだ。ここまで変貌するか、そしてその変貌も見事にベス・ハートとボナマッサ的に最高のパフォーマンスを発揮できるようなスタイルに仕上がってるのが見事。ロック的展開とも言えるが、そこがベス・ハートのスタイルが強くてそうとも言い切れない。R&Bとブルース・ロックの融合、という微妙な塩梅がなかなか聴き応えある。キャリアを積んだ二人の成熟したセッションは実に濃密で重厚で味わい深い作品として出来上がってて、このシリーズが今の所3枚あるが、どれもこれも素晴らしい。そしてライブ映像も見られるが、これもまた見事。アメリカってのはこういう本格的なのは強い。

 レイ・チャールズ、トム・ウェイツ、メロディ・ガルドー(!)、ビリー・ホリディ、エタ・ジェイムズ、ボビー・ブランド、デラニー&ボニー、アレサ…、見事な顔ぶれのカバー曲でしょ?それがひとつのアルバムとしての統一感の元にアレンジされてて、知らなきゃ完全にオリジナル・アルバムとして聴くだろうよ。それでも十二分に味わえるんだから。実にハートフルな歌声、ギタープレイ、素晴らしいアルバム。







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フレ
Posted byフレ

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