Roger Daltrey - Who's "Tommy" Orchestral

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Roger Daltrey - Who's "Tommy" Orchestral (2019)
ザ・フー『トミー』オーケストラル

 これでもか、と言わんばかりにまだまだリリースされ続ける「Tommy」。ロックオペラという戯曲が故に様々な形でアレンジされ、演奏され展開され、まさかそこまで続けられるなどと思いもしなかったであろうものの、完全にクラシックの域に入りつつある作品になっている。そして仕掛け人でもあったピート・タウンゼントの手から離れ、ひとつの作品として引き継がれつつある所もまたクラシック化への布石、果たしてどこまで残されていく作品になるのか…などと知ることは出来ないのだろうが、興味深い所だ。

 2018年に同じThe Whoのボーカリストであるロジャー・ダルトリーがオーケストラ帯同での「Who's "Tommy" Orchestral 」ツアーを実施、その際の音源が2019年になってリリースされた。パッと聴くとこれはスタジオ盤だと言われても何ら疑う事の無いレベルでの完璧な作品ぶり。オーケストラの演奏だから当然そうなるのだが、それにしても素晴らしい。バンドの方はサイモン・タウンゼントやフランク・シムズと言ったいつもの面々も参加している。しかし効果音もかなり再現されているし、新たに加えられているオーケストラサウンドもあったりと新鮮味はそれなりに数多い場面で聴ける。昔はこの「Tommy」というアルバムを聴くのって割と苦痛な部分もあったりしたが、徐々にそれは薄れていき、愛聴盤へと進化したが、その後サントラや映画、そしてミュージカルバージョンに加えての数多くのパッケージライブのリリース、と同じ楽曲同じ構成同じ時間数で演奏されているにも拘わらず、どんどんと一般化してきている。面白いものだ。普通にこんなの皆ちゃんと聴いてるのか?聴けてるのか?と不思議に思うが、どうなんだろ。これまで「Tommy」をそんなに何度も聴ける、聴いてるって人はさほど出会った事はないが。

 どこからどう斬っても知ってるどころ耳に染み付いているくらいに聴いているんで、それの音色違いの作品としか聴けないが、ロジャー・ダルトリーの声もやはり老けたよな。そりゃもう70歳超えてるし、歌えている方を称賛すべきなのだろう。彼ももうロックだ、と言うよりも歌い続ける人生を選択しているし、ここまで来たらThe Whoをまっとうする、と決めているし、それはピートも同じだろう。だからこそこの「Tommy」を歴史に残す活動を熱心にしているのもあるだろうし、やはり好きなんだろうね、この作品を。年齢と共に判ってきた事もあるのかもしれない。そういう作品だし、それを一緒に創り上げた自負もあるだろう。そんなキャリア的な想いも含めて聴いているとその深みが分かる。普通に聴いてもこんだけの素晴らしい完成されたオーケストラライブもそうそう無いだろうから、存分に楽しめる作品でもある。やっぱカッコ良いわ。



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フレ
Posted byフレ

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