The Devil's Blood - III: Tabula Rasa Or Death & the Seven Pillars

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The Devil's Blood - III: Tabula Rasa Or Death & the Seven Pillars (2013)
III: Tabula Rasa Or Death & the Seven Pillars

 バンドの音だけでオカルト的、聴いている者をどこか恐怖感味わせる雰囲気を出すというのもある種見事な音楽家の狙いとも言える。それもある程度の数の人間を、即ち一般的に「怖い」と思わせる雰囲気なのだから恐怖感というのは音で表せるという事になるのだろう。人間の感覚って面白いな。絵画でもそうだし、高等動物ならではの感覚。そこを突いたサウンドを出していけるロックバンドなんだから、普通にメタルやるぜ、ってレベル以上ではないと厳しい気もするが、それでもシーンに残り続けるってのは難しい。

 The Devil's Bloodの2013年リリース3枚目のアルバムにして今の所最終作となっている「III: Tabula Rasa Or Death & the Seven Pillars」。これがまた凄い作品で、本作にてこの手のロックの完成型を創り上げてしまったとも言える程の名盤、傑作となっているからか、バンドは以降活動していない。解散しちゃったのかな。女性ボーカルのヴィンテージロックでオカルトエッセンスたっぷりのストーナー系バンドとして出てきて、コンセプトもしっかりしていて雰囲気も演奏力も持ったオランダのバンド。ここに来て正にオカルト的なスタンスでの大作志向を打ち出した暗黒プログレ的組曲も取り入れながらの冒頭からの20分超えの楽曲。いやはや見事なまでに世界観を出していて、どんどんと暗黒面に落ちていくムードを出してくれる。3つの組曲から成り立っているようで、聴いているとその境目も展開も分かりやすいが、ユニークなのはプログレとは異なり、普通にロック的展開、サバス的展開で構成されているところ。即ち妙な変拍子やスピードチェンジで組曲を構成はしていない。多分物語的起承転結を曲調で変えていってるのだろう。

 反復する旋律がひたすら繰り返される、それがどこか恐怖心をソソる部分もあり、また狂酔しつつあるミニマル的な効果もあり、更に心臓の鼓動に近いゆったりとしたリズムを中心にしているから人間的に同期しやすいというあたりも見抜いているのだろう。そこにこの手のサウンドでは珍しく、ギターの音色がストラト的な線の細さでの歪み系で、重さが無い聴きやすい音で仕上げている。そこに効果的なディレイ音が重なってきて幻想的に…と、自分的に判る範囲ではそんなところだけど、根本的にコード進行やムーディな部分など相当研究しているはず。重すぎず、恐怖すぎず、適度な雰囲気で仕上げているあたりがそのプロさ加減。活動停止はちょいと残念な気がする実力派バンド。



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フレ
Posted byフレ

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