Wucan - Reap The Storm

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Wucan - Reap The Storm (2017)
リープ・ザ・ストーム

 クラウトロックと言えば当然70年代を中心に指すものという認識で、以降となるとクラウトという特別なニュアンスを持つこともなく普遍化、一般化してきた事もあって普通にドイツ出身のバンド、みたいに思われる事の方が多い。ジャーマンメタルなんてのはあるけど、それもいつしかドイツ出身のメタルバンドという呼ばれ方になっていって、結局シーンに出てきた頃は見よう見真似でお国柄の個性も顕著だったけど、こなれていくウチにそこまで差が出て来なくなった、という進化もあるのだろう。故にクラウトロックというのはほぼ死語でもあったが、まさかホントにその辺に影響を受けての第3世代第4世代がシーンに登場してくるとはね…。

 Wucanというドイツのバンドによる2017年リリースのセカンド・アルバム「Reap The Storm」。この手のはもうなぁ…なんて思いもしていたのだが、どうもYouTubeで見てると様相が違う。フルート吹いてるし、ギターも弾くし、テルミンも奏でるという不思議な女性フランシス。しかも歌えばおてんば系なやんちゃな歌いっぷり。それでいて今度はアルバムを眺めてみれば冒頭から10分の曲、終盤には21分と18分の曲が控えている…、何じゃそりゃ?ってくらいに時代錯誤を感じるのも面白くて、当然ながら聴かない理由は無かろうと聴いちゃう。するともうハードロックともプログレとも言えない、そしてお転婆な歌声が被さってきて、しかも録音されているサウンドのチープさも70年代風味、ってかそのままな音。なんとも見事にあの時代を意識しまくって創り上げている作品。

 昔のクラウトロックと同じ感覚で創っていたのかも、と思わせるのはハードロックとプログレッシブな構成がごちゃ混ぜで出来上がってて、もちろんブルースルーツが見えないところがクラウトロック的、それでいながら昔のクラウトロックではほぼ入ってこなかったJethro Tullからの影響、フルートを筆頭にそのエッセンスが織り込まれているのか、唯一無二な世界観をニッチながら創り上げている。いつの時代のアルバムだよ、って誰もが思うんじゃないかな。それでいて作品そのものの質も凄く高くて面白いし、これぞロック、って云う作品。見事なまでにオールドタイムなリスナーを含めて虜にしてくれるロックを再現してるし、どこかダサさがあるのも愛嬌、ちょっと血が沸き立つよ。









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フレ
Posted byフレ

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