Abacus - Abacus

Abacus - Abacus (1971)


　数少ない情報量しかないからどこのレビューにしても同じような事しか書かれていないし、それ以上を、と言ってもなかなか掘り下げられないのもあって、後は残されている音源から嗅ぎ取るってな所。一般の音源紹介や販売サイト的な所ってのは感想文じゃなくてきちんと情報を伝える必要があるだろうからもうちょっと独自に調査してその辺の情報量を増やしてほしいと思うが、難しいんだろうなぁ。どんどんと広がっているものだし発掘されてくるんだから到底太刀打ちできないって話かもしれない。その辺ウチのような適当な感想記述ブログは音源そのものの話が中心だからメンバー遍歴やら何やらってのはオフィシャルや販売系に任せちゃってるし、気楽ではある、か。

　Abacusなるもちろんドイツのバンドの1971年リリースのファーストアルバム「Abacus」。70年代に都合4枚のアルバムを独ポリドールからリリースしているから、結構なメジャーバンドとして君臨していたハズ。アルバム聴いてても当然そのレベルにあるサウンドだし、楽曲クォリティでもあるから普通に英国ロック界にも殴り込めたバンドだが、ドイツ国内だけで終わったのかな。蓋を開いてみると英国のGrailというバンドのボーカルだったクリス・ウィリアムスって人がドイツに渡ってドイツ人と組んだバンドって事なので、歌は英国人、バックはドイツ人という布陣で作られているようだ。言われてみればそういうメロディとバックの音質感にも聞こえてくるから不思議なもの…、確かにソフトなメロディに硬質なバンドサウンド…。

　そんな影響も当然あっての音楽性のユニークさは英国ごった煮ロックと同じくグチャグチャで熱いサウンドが聴けます。歌は妙にクールだけど演奏が熱くて鍵盤中心でありながらギターもハードに唸っているし、ドラムもあのドタバタ感で攻めてくる。楽曲の捻り具合は強引な変化が主体だから練られているというよりは意識的にどんどんと変化させていくという手法をつなぎ合わせて展開させていると云うような手法か、楽曲のスムーズさは無い。ただ、その強引さはドイツならではとも言える作風で、正にハードロックとプログレッシブな展開、それを鍵盤とギター中心で広げていって、みたいな感覚。1971年にしてこのアルバムでのサウンドなら全然英国とも遜色ないサウンドだ。かなりの名盤に数えられても良い作品。

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