Suzanne Vega - Solitude Standing

7 Comments
 バブリー全盛期の1980年代、何もかもが派手に、そしてハチャメチャなことも許された時代だったと今思い返してみるとそんな何でもありの時代だったのかな、と。こと音楽産業に於いても全く同じコトで、MTVが音楽業界を変えた、LAメタルがシーンに乗り出てきた、マドンナのようなセックスシンボルがアイコンとなりマイケル・ジャクソンが優美な踊りを披露する、後半にはラップらしきサウンドが台頭してきたとこでエアロスミスが再復帰、本当に何もかもが派手で、地味なことなどひとつもなかったんじゃないだろうか。デヴィッド・ボウイですらスーパースター時代という今では思い返したくもない時期を過ごし、この時期、アングラなものはもちろんあったのだろうが、何もかもが派手だった…。

Solitude Standing Duo Music Exchange Presents”World Premium Artists Series 100’s”スザンヌ・ヴェガ Live!
Suzanne Vega - Solitude Standing Solitude Standing

 そんな中、1987年に静かに盛り上がったひとつの象徴があった。スザンナ・ヴェガという女性の歌う質素なフォークソングだ。デジタル音楽とハードロックがチャートを占めている中、彼女は非常にシリアスな「Suzanne Vega - Solitude Standing - Luka Luka」という児童虐待をテーマとした曲を送り込んでいた。こうした人間の本質についてシンプルに語り上げたサウンドを聴いた人々は徐々に浮かれすぎていた世の中の音楽シーンから急速に身を引くかのように彼女の音楽を真剣に聴くようになっていった。そんな、時代を切り裂いたとも言うべきアルバムが「Solitude Standing」という彼女のセカンドアルバム。時代を考えてみると決して売れるべきモノでもないし、アルバムの中味だって特に売れ線の曲があるわけじゃない。しかし売れた。世の中上手くできてるなぁ、って思うひとつの契機でもあるな。

 で、その「Solitude Standing」、まずジャケットが何とも可愛らしいじゃないですか(笑)。一発で覚えるよね、こういうのってさ。それで最初に針を落とすとだな、いきなりアカペラが始まるんだよ。「え?」って思ったもんね、それは。しかも音のバランスが綺麗に取れたアカペラじゃなくってさ、バンドと一緒にやって、ボーカルだけ残したって感じのアカペラで、最初からアカペラを狙ったのではないってのは一発でわかるし、実際アルバムの最後にバンドバージョンが入ってるんだけど、とにかく最初のこの「Suzanne Vega - Solitude Standing - Tom's Diner Tom's Dinner」っつうアカペラが衝撃的だった。何度も何度もこれ聴いたなぁ。その次にちょっと聞きかじったことのあった「Luka」が来てさ、おかげでよく聴いたよ。そうすると当時レコードだったからやっぱりまとめて一気に聴くわけで、どれもこれもがエレクトリック楽器色なんて全然なくって質素な音と共に彼女の歌声が淡々と聞こえてくるっていう作品。あくまでも淡々と、なんだよ。それが浮かれた時代と相反していて余計に魅力的に聞こえた。だから名曲ばっかり入ってるって思える作品で、歌詞の意味も重要な人だったんだけどそれよりもそのシンプルさが新鮮だった。

 これも中古で見つけると多分500円くらいのハズだからリラックス用に聴いてみるのも一興かなと思うよ。アマゾンでも650円だしね(笑)。個人的にはアナログで聴くのに相応しいアルバムだと思ってるけどさ♪
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フレ
Posted byフレ

Comments 7

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千里  
さすがに

スザンヌ・ウ゛ェガは知っています。歌詞とか背景とか全く理解せずにただ聞いていただけだけど、当時あふれていた賑やかな音に疲れた時には、ほっとする曲でした。

(夕べは酔って余計なことを書いてしまったので修正しました。。。)

2007/03/15 (Thu) 00:30 | EDIT | REPLY |   
Jack Butler(gack)  

彼女の歌、声質をうまく引き出しているのはダンナでプロデューサーのミッチェル・フルームとチャド・ブレイク。Hi-Fiに対してロウ・ファイという言葉が生まれたのも彼らの作品やBECKとかから。アコースティックのドライな感じと打ち込みによるループサウンドの混合が特徴的でシェリル・クロウとかソウル・コフィンとかでも活かされている。俺はミッチェル・フルームとチャド・ブレイクは今でも最高のプロデューサー陣だと思っている。

2007/03/15 (Thu) 10:05 | EDIT | REPLY |   
リュウ  
懐かしい~・・・・

おおっ、意外な切り口ですね。ビックリ(笑)
この方は、実は、いや地味に好きです・・・。
不思議と癒されるんですよね~。
実は歌詞が意外にHeavyだったりするのに、メロで騙されてしまう・・・。
あの時代で、面白い立ち位置でしたよね。

そうですか、フレさんも聴かれるのですか・・、シミジミ。

2007/03/15 (Thu) 22:41 | EDIT | REPLY |   
フレ  
一気にレス!

>千里さん
あら、消してしまったんだ。…と言いつつ、今週毎日午前様状態なので全く何もできないのでちょろっと見ただけなのですが…。深酒いいじゃないですか。飲むなら酔わないと損だもん♪で、これ、賑やかさに皆が皆疲れてたことを気付かせてくれた音なんでしょうね。

>gakuさん
へぇ…、そこまで調べなかったなぁ。プロデューサー別に作品ってあんまり見ないからかな。そういうのも面白いんでしょうねぇ…。ふむふむ。

>リュウさん
意外、だろうね(笑)。まぁ、年がら年中ロックだけってのもね、疲れるから。どっちかっつうとこういうのがあって、Zepとかあってトラッドフォークもある、みたいな流れで繋がってるんだけどさ。

2007/03/16 (Fri) 00:27 | EDIT | REPLY |   
千里  
あ゛

もしかして読んでしまわれた?本人も今となっては何書いたかおぼろげにしか覚えていませんが、失礼いたしました。

昨日と今日は、量も度数も控えめにしておきました。

2007/03/17 (Sat) 00:55 | EDIT | REPLY |   
オダ  

スザンヌ・ヴェガいいですね。
この頃の素朴なアコースティックもいいですが、4枚目の「微熱」みたいなものも好みです。

このアルバムではやはりトムズ・ダイナーが好きです。
この曲の色んなアーティストによるバージョンを集めた「トムズ・アルバム」が欲しくて数年がかりで探した思い出が。
見つけたのはペイジ&プラントのコンサートを観にいった大阪で、ふらっとたまたま入ったレコード屋でした。

2007/03/17 (Sat) 03:16 | EDIT | REPLY |   
フレ  
ども2♪

>千里さん
大丈夫、自分も何が書いてあったかっつうのはほとんど覚えてませんから(笑)。量はともかく度数は重要ですね…。今週は結局毎日午前様達成です、はい(笑)。

>オダさん
「Tom's Dinner」ねぇ、名曲ですよ、ほんと。思い出したらすぐに口ずさめたっつうのもやっぱ良く聴いたんだろうなぁ、と。

2007/03/17 (Sat) 12:48 | EDIT | REPLY |   

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