McDonald & Giles - McDonald & Giles

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 1970年、英国アンダーグラウンドロックが盛んになっている頃、キング・クリムゾンで一旗揚げた連中がこぞってバンドを辞めて、更なる成功を掴みに行こうとしていたのか、単に渡り鳥的なミュージシャン気質がそうさせたのかはたまたフリップ卿への嫌悪感だけでそうなったのか、理由は多々ありそうなものだが、そのおかげで実に良い作品が幾つも聴けることとなったことには感謝せざるを得ないだろうなぁ。クリムゾンのメンバーがクリムゾンにこだわってしまったらそれぞれから派生したバンドが聴けなかった可能性があるワケで、例えばグレッグ・レイクがそのままクリムゾンにいたらEL&Pはどうなっただろう?とか(笑)。まぁ、そういうワケでバンドメンバーが固定されなかったことがシーンにとっては良い結果を与えてくれたとするならば、クリムゾンよりもクリムゾンらしくなるはずだったバンド(ユニット)がMcdonald & Gilesではないだろうか。

Mcdonald & Giles [HDCD]

 クリムゾンを脱退したばかりのイアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルズによるユニットがクローズアップされているものの実際にはピーター・ジャイルズという弟くんやピート・シンフィールドの歌詞までもが登場するワケで、実質これだけでもオリジナルクリムゾンを凌駕するほどの面子でしょ?そこに何とマルチプレイヤーとして既に世間に知られていたプロ中のプロ、スティーヴ・ウィンウッドがその隙間を埋めるように華を添えているのだ。

 アルバムを流すと最初から心地良いギターサウンドで英国だなぁ~っていう感じなんだよ。こういうのはB級もメジャーも関係なしで音色で反応してしまうところなんだけどさ、ドラムが入ってくるとね、あぁ、これこれ、これこそマイケル・ジャイルズのドラミングだよ、っていうプレイと音。このスネアが心地良いのだ。最初から11分の曲で歌詞も一応あるんだけどコーラスワークの方が印象的で、そもそも歌っていう部分が少なくて長い起承転結を持ったインストものに近い音。そして更に心地良くさせてくれるのがフルートの音だよ。クリムゾンで聴けた優しい世界だけを抜き出したアルバムって感じで本家がハード路線を走っていたのとは別にクリムゾンのもう一つの側面を全面に出していったのがこの作品。ピーター・ジャイルズのベースもクリムゾンらしいと言ってはおかしいけれど、しっかりとこのバンドにハマっている、そしてプログレッシブにラインを刻んでいる素晴らしいものだ。多分スティーヴ・ウィンウッドが弾いていると思う鍵盤もかなりアヴァンギャルドで、クリムゾンでのキース・ティペットと相通じるかのような演奏なので、この時点まではクリムゾンと音楽的な方向性は似たようなモノがあったようにも思えるよね。

 なかなかクリムゾン関連のアルバムを漁らない人でもこの作品は是非聴いてもらいたい一枚で、ホントにクリムゾンの毒の部分が抜けた感じの英国プログレッシヴ…というかそんなにプログレって感じでもなくって、英国ロックの音、そしてこれぞメジャーの音とも云える作品。いわゆるB級バンドと呼ばれる類の音楽性と同じようなサウンドの結果となっているものの当然ながら圧倒的にメジャーな音に仕上がっているという素晴らしきアルバムだね。

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フレ
Posted byフレ

Comments 6

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オダ  

このアルバム好きですね。
英国的なじめじめしたところがなくて、からっとしていて最初に聴いた時はちょっと戸惑いましたが。

マクドナルドがギターを楽しそうに弾いている気がします(笑。
クリムゾンではフィリップ卿がまだ他のギタリストの存在を許す雰囲気なかったみたいですし。

ウィンウッドのキーボードはいいですよね。
ウィンウッドがゲストでのキーボードをプレイするときは、ジミヘンの「エレクトリック・レディ・ランド」といい、トラフィックでやっているよりキレてますね。
ゲストだからサウンドのバランスを自分で考えなくていいから、のびのびやっているのかなあ。

2007/02/27 (Tue) 20:02 | EDIT | REPLY |   
evergreen  
私の青春そのもののアルバムです。

これは何と言っても、思い出深いアルバムです。
私は1と2が特に好きです。ゆったりと時間が止まりそうに
流れてゆくさまが好きなんです。
どっちの女性が好みか?ってのがいつも話題で・・・
殿方は圧倒的にマクドナルドの方ですね!
ちなみに私はジャイルスの方の女性を目指してました(無理)v-432

2007/02/27 (Tue) 20:50 | EDIT | REPLY |   
フレ  
ども♪

>オダさん
確かに英国的でないなぁって空気してますね。マクドナルド氏のギターってのも味があって良いし、確かにウィンウッド氏はゲスト参加が一番本領発揮しているって気がします(笑)。

>エヴァ姉さん
そうだねぇ、やっぱマクドナルド氏の趣味に共感です(笑)。

2007/03/01 (Thu) 20:19 | EDIT | REPLY |   
ぷくちゃん  

私もマクドナルドに一票。何かで読んだんですが、ジャケットにはその彼女が笑っているバージョンと不満げな顔のバージョンがあるそうですよね。(爆)

2007/03/10 (Sat) 13:35 | EDIT | REPLY |   
じじい  
当時の彼女

一緒に写っているシャーロットちゃん(18)にメロメロだったおかげで、クリムゾンまで抜けちゃって後々後悔したマクドナルドちゃんの青春の想い出アルバム。未だに恥ずかしいそうです。

2008/02/25 (Mon) 15:12 | EDIT | REPLY |   
フレ  
あれこれ~

>ぷくちゃん
へぇ、そんなのあるの?いやぁ、ホントに?まぁ、そこまでこだわったことないから知らないけどこれから気になるね(笑)。

>じじいさん
大笑いっす。これだけ露出してしまっては恥ずかしいでしょうねぇ(笑)。まぁいろいろなミュージシャンが似たようなことやってるのでいいんじゃないでしょうかね。クラプトンの代表曲ですらそうですからねぇ(笑)。

2008/03/01 (Sat) 19:34 | EDIT | REPLY |   

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