King Crimson - In The Wake of Poseidon

9 Comments
 先日スプリングを書いたのでどうしても叙情的なモノを聴いてみたくなって探していたのがメロトロンバンド。そのメロトロンの神秘と言われて真っ先に思い出すバンドが二つある。ひとつは云わずと知れたキング・クリムゾン。もう一つはムーディ・ブルースだったりするんだけど、これはまぁ個人的な印象か。メロトロンって白木のタンス箱みたいなのに鍵盤が収まっていて実は当時の楽器なのでテープに録音されたストリングスの音を鍵盤で再生しているというとんでもない代物らしく、それが故に聴いている方は心地良いものの実際に演奏している側では全くチューニングも何も合わなくなるとんでもなく生演奏に使えない楽器だったらしく、どのバンドでも相当苦労していたらしい。だからライブアルバムなんかを聴いているとチューニング狂いまくったものとか結構あって面白い。時にはメロトロンを止めてオルガンに変えるとかってのもあって、それこそそんなのが聴けるなんて思わないから非常に楽しんで聴けたりするのもある。

 そんなメロトロン神話に代表されるクリムゾンだが、先日イアン・ウォーレス氏が亡くなったらしく、その前のボズ・バレルと言い、なかなかクリムゾン人脈も人が減っていくようになってきたかと我が身と共に年を感じるものだ。そんなクリムゾンの1970年の作品と云えば、残念ながらイアン・ウォーレス氏参加の「リザード」ではなくその前のセカンドアルバム「ポセイドンのめざめ」ですな。どっちでもよかったんだけどやっぱメロトロンだったのでこっち。

ポセイドンのめざめ+2(ボートラ入り)(紙ジャケット仕様) リザード(紙ジャケット仕様)

 ファーストアルバムで伝説を作ってしまったバンドはアメリカツアーに出掛けたが最後、メンバーがみんな辞めるって言い始めて慌てるフリップ卿、そんな状態でとりあえず曲はあるからってことで出来上がったモノを片っ端から協力してくれる人達を拝み倒して創り上げたある意味執念の作品とも言えるのだ。音だけを聴いているとそんな素振りは全く感じられず、ファーストと同様のコンセプトを持ったセカンドアルバムとして位置付けられるのだが、背景を考えてみるとよくぞまぁここまで出来上がったものだと考えさせられる。その時点でフリップ卿の強迫観念による音楽=クリムゾンという図式が浮かび上がるものだ。まずはイアン・マクドナルドが脱退を表明、理由は「もっと明るい音楽がいいよ」ってことらしい(笑)。続いてマイケル・ジャイルズが消えていく。もっとも「ポセイドンのめざめ」には参加させられてはいるのだが。そして有名なグレッグ・レイクがキース・エマーソンと新バンドのために脱退=EL&Pだね。結局オリジナルクリムゾンメンバー崩壊だけど、裏方ピート・シンフィールドとフリップ卿の執念でアルバム完成。ゲスト的に「Cat Food」で強烈なピアノの印象を残すキース・ティペット、そしてクリムゾン史上最も劣悪な扱いを受けているゴードン・ハスケルの歌とベースによる「Cadence And Cascade」が非常~に素晴らしく、ファーストにはなかった斬新さをもたらしている。こういうピアノの使い方って凄く好きだな。これはアコギも綺麗に入っていてやっぱり気合いの入った作品なんだと思う。「Peace」で始まるテーマが三つ入っていて、ひとつのプログレッシヴアルバムのテーマという重要性をも打ち出した面もあるしやっぱり面白いよなぁ。最後のホルスト…いや、「The Devil's Triangle」とかさ(笑)。

 日曜日の夜なのでちょっとメジャーな作品に話を持ってきました♪ 最近コメント書きたくても書けない方々、思い切りどうぞ(笑)。

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フレ
Posted byフレ

Comments 9

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papini  
でもコメする(笑

確かに執念よねぇ、これ(笑

そういう執念深さも踏まえて、エバ姉さんの記事の
「女性的」っていうのがすっごくわかる。
いや、そういうことじゃないのはよくわかってるんだけど(笑
この記事読んでてさ、フリップ卿が、
あちこちに頭を下げてる絵が頭に浮かんで
笑いが止まらなくなった(笑

2007/02/25 (Sun) 21:28 | EDIT | REPLY |   
evergreen  

タイトル曲のメロトロンは凄いね、確かに。
女性的です!はい。笑。
これ水なんで、はい。
リザードはポケモンよろしく火なんで(>。<)男性的。
単純です、いたって。

しかしイアン亡くなって・・・ああ、あ~です。
合掌。

2007/02/26 (Mon) 01:07 | EDIT | REPLY |   
オダ  

このアルバムもメロトロンがとても効果的に使っていてすごく好きなアルバムです。
だけど自分としてはキース・ティペットのピアノの印象がすごく強烈。
メロトロンの洪水のようなA面を堪能して、B面のしっとりしたアコースティック・ギターのあとにいきなりこんな強烈なピアノあがるなんて不意打ちだあ。
なんて感じかな。

2007/02/26 (Mon) 19:46 | EDIT | REPLY |   
white  
あ、知ってるバンド出た。

クリムゾンなら知ってる!

でも1stしかチェックしてないや。。。

REDとか有名だから聴こうとかたまに思うんですけど、いつも「21世紀の・・・・」を聴いたらクリムゾンは満足しちゃいます・・・

2007/02/27 (Tue) 19:15 | EDIT | REPLY |   
francofrehley  

TB頂きましてありがとうございました。

この作品を掘り下げて書いている方はあまりいらっしゃいませんよね。拙ブログでも書きましたが、実に微妙なバランスの上で出来上がった名作だと思います。
こちらからもTBさせていただきました。

タイトル曲の冒頭歌い出し部分が昔ANAのコマーシャルで使用されたのですが、ご存知ですか?

2007/02/28 (Wed) 16:41 | EDIT | REPLY |   
フレ  
francofrehleyさん

いやぁ…、CMは知らないですねぇ。こんなの使われるんですか…。

2007/03/01 (Thu) 20:20 | EDIT | REPLY |   
波野井露楠  

うーん。
やっぱりTB失敗です~。。。
クリムゾンのセカンド、アップしました(^^;)。
プログレ初心者の私には、十分刺激的なアルバムでした!
かなりのヘヴィーローテーションで聞いてしまいました。
好きです、セカンドも!

2007/05/22 (Tue) 23:09 | EDIT | REPLY |   
じじい  
Cadence And Cascadeなんだが

ベースはピーター・ジャイルズじゃぞ。修正頼むよ。

2008/02/25 (Mon) 15:14 | EDIT | REPLY |   
フレ  
あれこれ~

>波野井露楠 さん
クリムゾンはどれも多分ハマるでしょうっ!

>じじいさん
あ、そこはですねぇ。「ゴードン・ハスケルの歌と、ベース(の音による)」っていう書き方でして、単発でウチの記事読むと誤解されやすい言い回しでしたね。まぁ、適当に書いてるんでしょうがないっすが(笑)。はい、ベースはピーター・ジャイルズさんです♪

2008/03/01 (Sat) 19:38 | EDIT | REPLY |   

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