Sam Cooke - Live at the Harlem Square Club 1963

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Sam Cooke - Live at the Harlem Square Club 1963
Live at the Harlem Square Club 1963

 時代の産物ってのはその時代じゃなきゃ生まれなかったであろうものだが、それが功を奏して今じゃとても真似できるものではない唯一無二の代物になってしまうものだ。特に音楽なんてのは時代の流れと共に出来上がってくるものだからどうしたって時代を背負う部分はあるし、それはやってる側も聴いてる側も同じで、だからこそ文化の一端でもあるし流行りものにもなっていくものだ。それを後からの世代が聴いて、時代背景を鑑みてじっくりと聴くことで、より一層そのアルバムなりの深みを実感するのだ。その手前にはそもそも名盤があったり良い作品があったりして、聴きたくなる準備がなきゃいけないのかもしれないが、名盤ってのはそうじゃなくても聴いてりゃその凄さが判ってしまうのだから多分大丈夫。

 Sam Cookeの発掘ライブアルバム「Live at the Harlem Square Club 1963」はそんな一枚で、1963年のライブが収録されているのだが、当時のマネジメントからはあまりにもサム・クックのイメージとかけ離れたライブアルバムが出来上がってしまったため、お蔵入りにしてしまったというもの。それが1985年にリリースされたというのだが、その頃は当然マニアに向けての作品になってしまっていて、当時のリスナー達に届いたのかどうかは分からない。その方が良かったのかどうかも分からんけど、後の世代からするとありがたい一枚、でもあるし混乱する一枚でもある。確かにマネジメントが危惧したように、このライブアルバムはこれまでのサム・クックという上品なソウルシンガー、ともすればポップシンガーな一面を思い切り否定するかのような肉体的で唾を吐き捨ててシャウトしている姿が記録されているからだ。そんなに詳しくない自分でも、こういうライブが出てくるのは想像出来なかったもんね。そもそもJBでも聴くかなって思ってた所にコイツが目に入ったから聞いてみたらこのぶっ飛び具合だったんだから。しかもライブ会場はもちろんハーレムの一角のクラブなワケで、モロにそのまんまなライブなんだな。

 オーティスやJBやああいったフィジカルなソウルシンガーのライブと何ら変わらない、シャウトしまくりのライブで、バックが質素なだけに余計にサム・クックのパワフルさが浮き彫りになり、会場の熱気ぶりもそのまま味わえるという貴重なアルバム。見事なまでに時代の雰囲気を捉えているライブで40分弱ながら一気に聴いてアドレナリンを放出しまくってしまうものだ。いやはやこんなショウが繰り広げられているとは驚き。やっぱり生身のライブってのは面白いな。


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フレ
Posted byフレ

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おっさん  

1985年にリリースしたときに聴きました。
黒人音楽に興味を持ち出した頃で、
サム・クックのイメージとは違うので話題になってましたね。

2018/06/08 (Fri) 05:10 | EDIT | REPLY |   

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