Sandy Denny - I’ve Always Kept A Unicorn

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Sandy Denny - I’ve Always Kept A Unicorn
I've Always Kept A Uni

 完成された作品ではなくてその手前の曲が出来上がったばかりのデモ音源なんかが重宝がられるのはもちろん完成形が知られ渡ったが故の原曲の功罪であろう。そこにはダイヤの原石とも言える元々の素のままの音が記録されているのだから、アレンジだってさほどされていないしもちろん楽器による色付けもほとんどされていない事が多い。ホントにねぇ、アコギ一本とかピアノだけのデモって美しいんだよ。どんな曲でもさ、そうやって作ってあるのはしっかりしててどんなアレンジでも良いものは良いっていうのか、そういう風に聞こえる。

 Sandy Dennyの編集盤で「I’ve Always Kept A Unicorn」ってのが出てた。その前にボックスセットでは登場していたらしいけど、そこまで聴けてなかったから自分的には未聴のままでいたデモ音源中心の発掘音源がコンパクトに聴けたのは嬉しい。ストローブスと一緒にやり始めた頃の名曲「Who Knows Where The Time Goes」のアコースティックデモから始まるのだが、これがまたバンドバージョンとはちょいと味わいが違っていてついつい引き込まれてしまう。そのまま全楽曲がそんなアコースティックでのデモ音源調で収録されているので、ひとつのアンプラグド作品として成り立ってしまっているのだが、そこで聴けるサンディ・デニーの歌声はデモだからと言って手抜きになることはなく、もしくはデモで軽く歌っていたとしてもそのレベルなのか、ってくらいには本気で美しく聴ける意気込みの入った歌だ。この人はもうどういう時に歌ってもしっかりとサンディ・デニーになっちゃうんだろうね。著名な歌手は皆そうなんだが、それこそ天性のものだ。

 チープな音で収録されているアルバムで、歴史と時代を感じさせるものだが、それこそ自分の部屋でオープンリールを目の前にギター一本で歌った曲と言わんばかりのピュアな空気が詰め込まれているので実に生々しく雰囲気を楽しめる。それでこの完成度の高さなんだからやっぱりホントにミュージシャンだったんだなと。天才的だもん。ここまで作り上げて自分で吹き込んで、歌い上げて昇華させて…、そんな過程を垣間見れる興味深いCD2枚組。




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フレ
Posted byフレ

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