Ten Years After - Cricklewood Green

あまりにもマニアックな英国ロックばかり書いているのも悪いので、休日のお楽しみに少々メジャーなものを…と思って持ってきたのがテン・イヤーズ・アフター。ちなみにB級路線はまだまだ続けます(笑)。それで、時期的にはやっぱり1970年代初頭ということにこだわりたかったので名盤と名高い「夜明けのない朝」ではなくその後の「Cricklewood Green」です。このバンドは面白いことにデビュー時からデラムレーベルでリリースされてて、1970年頃も同じレーベルからリリースされている。言い方を変えれば英国B級バンドと同じレーベルからこれほどメジャーなバンドのアルバムが同じレーベルでリリースされていた事になる。まぁ、厳密にはデッカ>デラム>ノヴァっつう感じなのでそもそもの位置付けがそうだったのかとも思えるが。
そのテン・イヤーズ・アフターと言えばウッドストックでの快挙が伝説的になっていて、当時の全ロックファンの目を釘付けにしたことからメジャーバンドの仲間入りをしたのだが、レコードそのものはあまり売れ行きがよろしくなかったバンド。タイミング的によかったのがウッドストックでのパフォーマンスが浸透した頃にリリースされたアルバム「夜明けのない朝」で、名盤扱いされている時代をそのまま封印したようなアルバム。もちろん好きです。
その頃は正に全盛期だったアルヴィン・リーだが、やっぱりギタリストとしての才能が優先していたので楽曲作りという面ではまだまだワンパターンだった。それが結局仇になるが、それでもギタリストとしてのバリエーションの広がりが顕著だった70年代初頭はガンガンアルバムをリリースしていて、「Cricklewood Green」「Watt」「A Space in Time」と立て続けに発表。「Cricklewood Green」はバリエーションに富んだ作品で、これこそが最全盛期の作品とも言える傑作。以降は失速していく…と言うか時代の変化に対応しきれないまま、そして自身達の音楽の方向性を完全に見失ってしまうアルバムとなっていき、バンド解散という道を辿る。
その「Cricklewood Green」だが、イマイチ世間的にはメジャーな代表作として取り上げられることが実に少ないしウェブの世界でも「Ssssh...」についてはアチコチで書かれているが「Cricklewood Green」についてはあまり取り上げられていないんだねぇ。それもよく分かるが。このアルバムではハードな路線からジャジーなもの、ラグタイム、バラードとアルヴィン・リーのギタリストとしての才能が天空を描くように広げられている作品で決して地味なアルバムではない。しかもそれらが一辺倒ではなく心地良くアルバムとしてまとめられているところも聴きやすさを手伝っているしね。「夜明けのない朝」が世間に打って出た名刺代わりの作品だとしたらこの「Cricklewood Green」は音楽的に深みを伝えている作品。正直、この二枚とライブ盤があったらこのバンドは制覇できてしまうと思う。
ちなみにアルヴィン・リーは自身をジャズギタリストとして認識してもらいたかったようだ。しかしなぁ、赤いギブソンES335であれだけ早弾きされるとやっぱり衝撃的だよ。今でも地道に活動しているみたいなのでどこかのライブハウスレベルで見れたら凄く嬉しいな。
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