Kiss - Creatures of the Night

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Kiss - Creatures of the Night (1982)
クリチャーズ・オブ・ザ・ナイト(暗黒の神話)

 何となくロックってのはどこか社会的には反抗心があったり反骨心があったり、社会体制に不満を持っていた…。そこまでじゃないにしても若者の怒りを発散しているようなイメージがあって、それこそが原動力みたいなイメージを持っている。それは多分日本のロックがそういう歴史的背景から強く出てきているからだろう。当然プレスリーから出てきたロックのスタンスってのはやっぱり親からは嫌われるものだったし、若者のモノだった。そこから出発して、それが産業となり、そこにはプロ集団がいて、しっかりと商売になり音楽的レベルも高まり、みたいな図式を辿っていく。更にとその先を見据えてバンド事業を進めて行った数少ないバンドのひとつがキッスになるだろう。

 Kissの1982年リリース作品「Creatures of the Night」。ご存知ドラムはエリック・カーに交代してて、実はギタリストもエースは脱退していて、ヴィニー・ヴィンセントやボブ・キューリック、ロベン・フォードが参加してて、曲作りではブライアン・アダムスまで参加しているというある種一大セッションアルバムでもある。そのくせこれまでのキッスのキャッチーでポップなハードロックからは大きくヘヴィメタルにシフトしていて、そりゃ時代的にはそっち行くしかなかったんだろうが、あまりにも一般的なメタルチックなサウンドに進んでいて驚いたもんだ。このアルバム聴いてからはこれまでのキッスの完全にオリジナルなキャッチー路線ってのが本当に貴重なバンドのスタンスだったんだなと気づいたもん。あんなキャッチーなの何でやってるんだろ、って思ったけどこういうヘヴィなのやっちゃうと普通のバンドレベルになっちゃったしさ。それじゃ面白くないだろ、ってのが単純にこのアルバムの感想。

 もっとも面白くないと言ってもキッスらしからぬという意味で、世間的なメタルバンドのレベルから見たらどうなのかはよく分からん。多分キャッチーだね、って感じはあると思う。それでもキッス史からしたらヘヴィってだけか。ただ、本人たちがどう思っていたかはともかく、時代の波に迎合した作品だと思うし、それで正解だったんじゃないかと。ある程度は狙ってたと思うが、正にこの後の歴史を今見ていけばこれは正解だったでしょ。オールタイムなキッスファンからしたら好まれないアルバムとは思うけど、大きな変化をこういう形で示した意気込みを見せた作品。まぁ、自分的に好きかってなるとそんな事ないけどさ。


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フレ
Posted byフレ

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おーぐろ  

速い曲なら Parasite、I Stole Your Love、重い曲ならShe、God Of Thunder と過去にもあるですけど
やっぱサウンド自体がメタル的になった故の違和感というかKISSじゃない感が強いですねぇ
Unmaskedの音のスカスカ感、失敗に終わったコンセプトアルバムのEldert、メンバー間のゴタゴタと
いろいろ迷走している途中のアルバムって感じがします
けど、なにげに好きです(笑 

2018/05/08 (Tue) 21:37 | EDIT | REPLY |   
フレ
フレ  
>おーぐろさん

もうね、今なら何でも良いんですけどね。
やっぱり当時のファンの狂熱ぶり落胆ぶりが今の時代にも影響を及ぼしてるし。

2018/05/26 (Sat) 07:49 | EDIT | REPLY |   

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