Whitesnake - Slip of the Tongue

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Whitesnake - Slip of the Tongue (1989)
Slip of the Tongue

 やっぱりメジャーな世界で大成功を達成するレベルのアルバムってのは出来栄えが全く違う。ましてや80年代以降、即ちデジタル技術が出てきた事と音楽産業が思い切り伸び盛りだったことがその発展に拍車を掛けた事はあるだろうけど、それに乗っかったバンドやプロデューサーもあって、そんな作品を聴いてみるとそりゃもう明らかに違うワケよ。何がって、音の作り方からエフェクトから作品の取り組む姿勢も何も音も作り方も全て。やっぱりバンドが曲作りました、出来ましたアレンジして録音しました、ってレベルだけではこれは達成仕切れないものだ。そこでプロデューサーの出番、そんな素材をいじりながら全米達成出来るレベルの作品にまで仕上げちゃうというワザ。見事な仕事です。それによって損する人はいないんだから商売考えたらやらない理由はない。が、ロックバンドというのはそういうトコロに目線を置かないでどうしても自分たちというのを優先してしまうキライがあるので大抵のバンドはそこまでたどり着かない。やっぱり魂売らないと成功しないんかもね(笑)。

 Whitesnakeの1989年リリースの「Slip of the Tongue」。もちろん売れまくったのは記憶にある人も多いだろうし、そりゃもうこの頃のホワイトスネイクと言えば飛ぶ鳥落とす勢いでデフレパと双璧を成すメジャーシーンに切り込んでいけたハードロック・メタルバンドのひとつに食い込んでいった頃。このアルバムだってそれに相応しい超メジャーな音作りで実によく出来てる。今聴いてもよく出来てる、って思うし古臭くないし見事な作品だ。あ、自分的に好みかどうかってのは別の話です。その意味では全然好みではないし、ピンと来るものは何もない。デヴィッド・カヴァデールがこんだけのハイトーンで歌ってくるってのが少々意外で、こんな声出るのか、とか思ったくらい。前作あたりからのメンバーの入れ替わりや本作でのメンツの変更なんかはアチコチで書かれているからくどくど書かないけど、ここでのスティーブ・ヴァイの職人芸プレイは実に素晴らしい。何らホワイトスネイクという看板に傷をつけることなくサラリと助っ人が出来てしまっている。彼にとってこれくらいは朝飯前だったろうな…。

 ヴィヴィアン・キャンベル…Dioからホワイトスネイク入ってアルバム残さず離脱、そしていまはデフレパという実はアイルランド人という人がこのあたりの架け橋になってるんだが、ここで一気にスティーブ・ヴァイに持ってかれてるな。曲自体はヴァンデンヴァーグの才能が大きかったようだが、腱鞘炎で不参加、この人もオランダ人だし、結局英国なカヴァデールと他の血を混ぜた曲をアメリカ人がプレイしたみたいな図式で、だからこそどこか英国的でもないしアメリカン、とも言い切れない感触が漂うのだろう。もっともこんだけのサウンドプロダクションされてたらアメリカンになっちゃうけどさ。英国産でこの音はまずない。アレコレ書いたけど、一言で言えばホントに良作秀作傑作。ただし薄っぺらい、かな。


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フレ
Posted byフレ

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