Nico - Live Heroes

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Nico - Live Heroes
Live Heroes

 年を取ってくると新しい事、刺激的な事ってのが少なくなる。これはもう経験からしてしょうがないんだが、例えば食べたことのない食べ物に出会う、とかさ。聴いたことのない音楽や見たことのないストーリーの映画に出会うとかでも良いんだけど、そういうのが減ってくるんだよ。んでも、同じ時間分で新しいものがたくさん生産されているんだから何かあるはずで、それを探すというのもしなくなる。確率が少なくなっているからだろうからね。ただ、そういうのを求めないと面白くないし、それは多分絶対にあるハズ。もちろん世界中をって意味でもなく周囲の手が伸ばせば届く範囲でって程度でさ。あれば良いよな…。

 Nicoの1982年のライブアルバム「Live Heroes」。もちろんNico存命時にリリースされているから本人もリリース意思があったんだろうと思うライブアルバムで、昔は何でも聞ければ良かったからレコード見つけては買ってた中の一枚。曲目見るとほぼベスト盤?みたいな感じだったんで、ライブ編集盤だろうけど、いいや、ってな感覚だったな。ニコにしてはコンパクトに聴けたライブアルバムだったんで、演奏のチープさはいつものことながら圧倒的なニコのパフォーマンスは健在、しかもこの時期にしては結構ロック寄りなスタンスで取り組んでるような感触もあって聞きやすかった。基本的にはライブ編集盤なんだけど、当時のバンドをバックにして新たに録音し直しているのもあって、若手のポストパンクバンドなんかを上手く使っていたようだね。使っていたというか、仕立てられていたと言うか…、若手バンドからしたら伝説のシンガーだもんな…、超えられるハズもないし一緒にやれるだけで幸せだったんだろうけど。

 アレンジは基本的にこの時期のニコ特有の無機質でアンビエントなサウンドの中でのあの地下の水道管と呼ばれた歌声が響き渡る。不思議と突き抜けて響いてくるのがこの人の歌声の不思議なトコロ。魅惑的でもあるし、そのあたりは近年のマリアンヌ・フェイスフルと同じようなものかもしれない。しかしどうやってこんだけ重く暗い楽曲を作り上げて一緒に演奏しようという会話になるのだろう?やってて楽しいか?って思うような曲もあるし、不思議なものだ。とは言え、芸術的感覚からすれば立派にポップスの世界。カバー曲に引っ張られるけど、実はニコの世界でしかないアレンジ、見事です、いつでも。




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フレ
Posted byフレ

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