Marianne Faithfull - Give My Love to London

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Marianne Faithfull - Give My Love to London (2014)
Give My Love to London

 情報を発信する人、受信する人、それぞれ皆が皆どちらにも成り得る時代、やってみればいずれも分かるものだが、相変わらず一方通行的な人も多いようだ。発信側はもちろん一方通行になりがちではあるけど、受信側も自身の意思だけを勝手に表明=反論だけで持論があるワケではない、ってな事もあってだからこそ人間は切磋琢磨して補い生きているんだ、とも言えるし面倒くさいとも言える。だから何もしないって選択も賢いのかもしれないけど、それは世界に参加しないって意味でもあるかな。別に参加しなくても良いし、自分もどっちかっつうと参加しないタイプ。ロックに関してはこうして発信してる事もあるけど、人間の思考の交錯って難しいなぁって思う。

 Marianne Faithfullの2014年のアルバム「Give My Love to London」。何とロジャー・ウォーターズやニック・ケイブ、レナード・コーエンなんかが楽曲提供していてジャケットに見られるマリアンヌ・フェイスフルがホントに今の時代に歌っているアルバム。マジか…知らなかった。こんなヤサグレたおばあちゃんになってたとは…。しかもこのジャケット、タバコの煙が人生を物語ってるってのか…、切なくなるジャケットだよ。英華と堕落、死と生、全てを経験して今のこの悟り切った表情と姿、美しい、という一般的な単語からはかけ離れるけど、美しいと思わせる表情です。決してロックな人生を歩もうとしていたワケじゃないけど、ひょんな事からアイドルになりロックとの関わりを持ってしまったが故に人生が全く読めないものになってしまった人、そんな印象。それでも今でも生きてこんな姿をさらけ出している、それもマリアンヌ・フェイスフルという女優・歌手の人生か。そういった悟りがこのアルバムの歌でも表れていて、こんな歌声だっけ?ってくらいには誰かわからないくらいのしゃがれ声での歌。上手いとか可憐とかじゃなくて人生そのものが声に出ている感じで、狙ってなかっただろうけど、ものすごい個性的で心にズシズシと響きまくる歌声。

 ロジャー・ウォーターズの曲なんかは面白くて、ピンク・フロイドってかロジャーそのままの曲で、こういうのしか出来ないんだよなこの人ってくらい隠しようのないロジャー・ウォーターズ節、それをまんましゃがれ声のマリアンヌ・フェイスフルが歌っている、というかカバーしているみたいな感覚に陥るくらいの曲で見事、ロジャー、って感じ。他の曲でも不思議なことにロジャーはまったく絡んでないんだけど、マリアンヌ・フェイスフルの人生観がそうなのか、重くて暗いトーンが漂っている。決して暗くないけどね。聴いててず〜っと後期のNicoを思い出してた。ニコもこういう感じで退廃的なサウンドやしゃがれ声でのアルバムが多かったし、そういえば女優からヘロインへの堕落って点も同じか。なるほど。それにしてもあのマリアンヌ・フェイスフルの今がこれほどズシリと響くとは思わなかった…。見事なアルバム。


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フレ
Posted byフレ

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