EL&P - Tarkus



まだプログレッシヴロックという言葉がはっきりと定義できていない1970年初頭、日本ではフロイドのアルバムに付けられた帯でプログレの定義が成されたようだが、そういう意味ではなくって音楽的に…というか、我々が今考えているプログレらしい曲、バンドっつうものを最初に打ち出したのがEL&Pの「Tarkus」なのかもしれない。他のプログレバンドが1971年にリリースしたアルバムを見てみると…
King Crimson 「Islands」…混沌
Pink Floyd 「Meddle」…雰囲気
Genesis 「Nursery Cryme」…おもちゃ
Yes 「Fragile」…美楽
EL&P 「Tarkus」…ピコピコ
Gentl Giant 「Acquiring the Taste」…構築美
Soft Machine 「Third」…ジャズ
Moody Blues 「Every Good Boy Deserves Favour」…叙情
…とまぁ、もちろんそれらしいアルバムが出揃ってきてはいるんだけど、なんつうのかな、ピコピコプログレってEL&Pの「Tarkus」なワケよ。他は叙情性っつうか構築美っつうか…。う~ん、多分ね鍵盤が前に出ていて、ギターとかないから余計にそう聞こえるんだと思う。まぁ、イメージをサブで書いてあるけどさ、どのバンドも個性的だったっつうとこでプログレとは何?みたいになるんだけど…。ま、雑談はその辺にしときましょ。
で、「Tarkus」。よくわかんないけどEL&P=シンセバンド、という定義付けされたアルバムでもあるし、それはもちろんA面最初の、と言うかA面のタイトル曲に依存するところが大きいハズ。ドラマティックっつうんじゃないけど、色々な音が鳴り響いて、テーマもあって、それでいて演奏だけに走らずきちんとレイクの歌もしっかりと歌われているというもので、そのバランスが見事なんだろうと。ピコピコばっかりの代表曲でもあるんだけどね。巧いのはこれだけの大作を聴かせた後、きちんと和ませるように小曲が差し込まれていて、それが凄くポップに聞こえるワケで、それもまたEL&Pの特色なんだよな。基本的にカール・パーマーは別としてグレッグ・レイクは歌心旺盛な人だから小曲好きだしね。パーマーのドラムが実は結構良くってさ、軽めにロールするドラミングで英国プログレ的な音なのだ。B面はレイクのロック魂からスタートするので、これはまだファーストのハードロックEL&Pを引きずって昇華した良いパターン。こういう方が聴きやすいな…。どうもエマーソン主体の曲はやっぱり好みではないのだ。多分ギター弾き的に面白くないからだと思うけど(笑)。だからこのバンドって聴いていて、誰が主導の曲かってのは何となくすぐわかるもん。ま、誰でもわかるんだろうな(笑)。
ただね、このバンドのパフォーマンスを早い段階で見ていたら変わっただろうなぁ、それは思う。だから音はともかくビジュアルからも入るべきバンドだよね。そうするともっと素直に聴けるハズ。アルバムは良いって云う人が多いからきっと良いんだろう、そう思って何度も挑戦したけど…やっぱ好みではなかった(笑)。
- 関連記事