Audience - Audience

0 Comments
Audience - Audience (1969)
Audience

 ヒマだからバンドでもやろうぜ、ってな空気が今の時代にはなかなか無いんだろうな。他にもヒマだからやろうぜ、って選択肢が多いからそこでわざわざバンドなんて選択肢も無いだろうし音楽という選択肢ですら少ないだろう。そう考えると今でも出て来るバンドや歌手ってのは希少価値が高いのかもしれない。どんだけ才能が無かろうともその意欲やきっかけとして役に立つなら可愛がって広い目で見ていかないといけないのか?なんて目線もあるのだろうが、当然リスナーはそんなこと考えてないからつまらなきゃアウト、面白いものを探す。だから少ない分母の中から更に寄り優れた音楽を奏でるトコロに少ないリスナーが集まっていくという形になっているということか。

 1969年にデビュー作「Audience」をリリースしてその後72年までに4枚の作品を残したその名もAudienceという英国のバンド、人並み以上にはセンスを持った若者たちが集まって出来上がったバンドなのだろう、メインのハワード・ワースという人物はバンド解散後もドアーズのレイ・マンザレクあたりとも一緒にやったりしていたってんだから人脈も才能も確かだったのだろう。鍵盤やフルートを奏でているキース・ジェンメルって人はAudienceの後にStackridgeで活躍していった人だし、そもそもAudienceってバンドも4枚目の作品「FRIEND'S FRIEND'S FRIEND」ではストーンズとの活動で有名なボビー・キーズなんかをゲストに迎えたアルバムをリリースしたりもしているんだからそれなりのバンドだった、とも言える。デビュー作「Audience」はポリドールからのリリースで、以降はカリスマレーベルからのアルバムってことなんで、多分ポリドール側ではこの頃にあった青田刈りのバンドのひとつでしかなかったという感じだが、バンド側としてはきちんとした音楽活動を成果として残したくてカリスマレーベルに拾わせたというトコロか。音楽性だけ聴いているとポリドールの選択は確かに正しかったのかも、とも思わせるが…。

 その「Audience」という作品。と言うかバンド、なんだが、一言で言えば普通の英国ロック。ただし普通の英国ロックって何?ってのあるし、ジャジーなセンス、サックスだったりフルートだったりと言ったのも活躍しているしブルース・ロックに影響されたギターもきちんと入ってるし、この時期特有のランニングベースラインもしっかり入ってるから歌心のある曲が多い。ただ難しいのが、名曲だ、ってのがあるワケでもなくハードロックだ、とかロックらしい曲だ、ってのも特に見当たらず、かと言ってボードヴィル的な曲やシニカルな作風ってのがあるんでもない、いや、どれもそういう雰囲気、という曲が多く、器用に小粒にまとまっているので可能性は凄く感じるけど、どうなんだろ?っていう微妙な位置づけ。英国ロック好きな人は好きですよ、間違いなく。これもまたキンクスやジェスロ・タルあたり好きなら大丈夫。ただ、ユーモア分からないと厳しいかもなぁ…ってくらい。

 この辺のバンドってのは何がしたいんだ?とか難しい音楽的な事を求めてはいけないのだ。ただただ冒頭のようにヒマだからバンドやってみて集まったメンバーで面白そうなアイディアを詰め込んでみたらこうなった、みたいなイメージを持ってそれぞれの人間の個性やバックグラウンドなセンスが詰め込まれていると思った方が良い。それが化学反応を生み出して楽しめる音になる、と。だから突飛もないのが出てきたり無茶苦茶なのが詰め込まれてきたりするんだろうね。そういうごった煮、って感じのバンドの筆頭でもあるか。




関連記事
フレ
Posted byフレ

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply