Quella Vecchia Locanda - Quella Vecchia Locanda

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Quella Vecchia Locanda - Quella Vecchia Locanda (1972)
クエラ・ヴェッキア・ロカンダ(紙ジャケット仕様)

 凶暴なサウンドってのが存在する。パンクなんかの凶暴ってのとは違ってさ、クリムゾンの凶暴さってのは知られているとは思うけど、ほんとに荒々しく凶暴なサウンドで、音で犯されてるって昔は言われたもんだけど、それくらいにサウンドが凶暴なバンドのアルバムってあるんだよね。面白いのはそう言われるサウンドになるには大抵フルートやバイオリンってのが入ってきてて、そいつらが通常のロックサウンドに別の角度から凶暴さもメロウさも与えられるって事だ。鍵盤も一部あるかな。んで、これがまた激しいロックが好きな人間からすると結構な好みで、この激しさはロック聴いてる気分になるし、実際かっこよく感じるから好きな音になるのだ。

 Quella Vecchia Locandaの1972年のデビューアルバム「Quella Vecchia Locanda」は正にその若さと勢いが凶暴なサウンドとして出てきているアルバムで、その凶暴さの一端を担っているのは確実にバイオリンの暴れ具合であろう。オルガンのヘヴィさやギターのハードさももちろんあるけど、輪をかけての凶暴さはそこにある。ところが一方では当然のように美しくクラシカルで静かな音の調べも聴けるし、それはフォークギターとコーラスワークで奏でられる美しい旋律だったりもする。その時もメロトロンやバイオリンがムードを盛り上げてのサウンドになるのだから、その変幻自在さはバンドの器用さにも繋がる。歌声はと言えば基本的に歌が上手いワケだからしっとりと歌えばそりゃしっとりするし、暴虐に歌えば迫力満点の凶暴なサウンドのフロントに相応しい歌にもなりうる。しかしこのバンドの魅力はやっぱりぶっ飛んだ迫力だね。

 今にして思えばそうでもないのだろうけど、アバンギャルド的に様々な音楽のミックス、それもイタリアというフィルターを通っているからクラシカルな要素も入ってのジャズやロック、更に凶暴さが加わっての美しさが際立つ。セカンドの「Il Tempo Della Gioia」のジャケットの方がインパクト強くてあちこちで紹介されることも多いからそのイメージの方が強いけど、ファースト「Quella Vecchia Locanda」はもっとシンプルにハードなロックが聴ける。よくぞこんな作品を作り上げたものだ、と讃えたいほどに自分の好みにハマってくる音です。


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フレ
Posted byフレ

Comments 2

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Photofloyd(風呂井戸)  
イタリアものの70年代の華

いやはや出てきますね。懐かしの世界。
 クリムゾンと同じで、ヴァイオリンというのはこんなにスリリングな世界を構築するのかと驚いたものでした。
 しかし、2nd「歓びの瞬間」のリリカルな響きとクラシック曲のような盛り上がりには圧倒されました。
 1988年にEDISONの企画で日本でもCDをリリースしてくれて涙ものの嬉しさでした。今見ると3200円でしたね。結構いいお値段でした(笑いと涙)。

2017/12/28 (Thu) 23:45 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>Photofloyd(風呂井戸)さん

ヴァイオリンのスリリングさや狂気ぶりってのはホント面白いですから、その辺の入ってるロックバンドって割と好きですね。セカンドのはジャケットのインパクトもあって、このバンドはあれしかない、ってイメージでしたから、こっちを聞いて、全然悪くないじゃないか、って思った次第。やっぱり凶暴さを出せるバンドにおとなしい音は似合わない(笑)。

1988年のエジソンのCD化はほとんど買ったんじゃないかなぁ…、4枚とか8枚シリーズで出してくれたからまだ出来たけど、アナログで見つからなかったのがゾクゾクと出てきたのは嬉しかったですね。

2018/01/02 (Tue) 08:48 | EDIT | REPLY |   

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