Semiramis - Dedicato a Frazz

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Semiramis - Dedicato a Frazz (1972)
Dedicato a Frazz

 旅の醍醐味の多くは結局のところ食べ物になるんだろうな。B級グルメから名物に至るまでそのあたりの情報に困ることはないし、観光ったって見るとこ限られてるし、思い出的に残るのは景色と食事、ってのが圧倒的だと思う。目的を持った旅だとそうはならないのだが…、そういえば知り合いにどっかのサッカークラブの熱狂的なファンですべての試合を見るんだ、ってことを何年もやってて、それは耐貧旅行とでも呼べるもので、深夜バスやローカル電車だけで長距離移動するとか、観光はもちろんまったく無くて、せいぜい駅などで現地のものがあれば食べる、とかお土産だって自分の分なんて買わないから結局何もモノは残らないってな事を言ってた。試合内容は覚えてるけど、どういうトコロだったか、ってのは見てないから分からん、と。うん。

 70年代の幻のイタリアン・ロックは実に数多くあり、それがまた短命で終わっていたからこそ一瞬の輝きの美しさもあって、さらにユニークな楽曲郡のレベルの高さやあまりにも桁外れの楽曲へのアプローチ、言い換えれば未熟な時代でのロックへのアプローチがそのユニークな文化との融合を果たしたからこそ産まれた味わい深さ、それがこの頃のイタリアンの面白さだろうし、ユーロ全般に言える面白さなんだな。本日のSemiramisなんかもその類で、1972年に唯一のアルバム「Dedicato a Frazz」をリリースしてその後解散している。一度見たら記憶に残る強烈なジャケットで、しかもこの顔立ちとかどこのバンド?的にも思ってしまうので、その印象深さは忘れられない。そんな印象を持ってのアルバムを流してみるとこれがまたなんとも言えないイタリアン・ロックな破壊力と構築美で、正にこの時代でしか出なかったであろうハードなプログレ…プログレってのかな、これ。ハードロックかも。ん〜、このカンタトゥーレ具合がイタリアンの醍醐味ではあるが、やってる当人たちは多分目一杯ハードロックだったと思う。

 静と動と言えば表現は良いが、無茶苦茶なアンサンブルがぐちゃぐちゃに取り込まれていて、更にギターはハードロックサウンド、繊細なアコースティックも要所要所に導入され、ベースはもちろんランニングで走りまくってる、当然ドラムも然り。鍵盤の音はもちろん自在だが、決して美しさを強調するだけの音でもない。それに若さという一番の武器が加わり、破壊的なサウンドが仕上がっている。こういうのはホント、英米では聴けないよなぁ…、面白い。そんなことしてるのに凄く熱さが伝わってくるという不思議さも個性的。


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フレ
Posted byフレ

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