The Who - Who's Next



2007年一発目、やっぱりロックの大名盤で欧米ではツェッペリンと並び称されるバンド、そして今ではたった二人になってしまったものの現役で活動しているロック界最古の長寿バンドのひとつでもあるザ・フー。そういえば先日も新作をリリースしていたな。この新作はねアルバム「Tommy」を彷彿させると言うか、前半は普通の新作アルバムだけど中盤からはコンセプトアルバムになっていて短い曲をいっぱい組み合わせた組曲が面白い。それとジャケットもどこか「Tommy」を彷彿とさせるものだし、あ、それと「Baba O'Reley」のシーケンサーが鳴っているとかね。ドラムのザックもキースみたいなドラミングで実によろしい。
が、今回はやっぱり新年一発なので、世界最高の名盤のひとつとして数えられる「Who's Next」だな。そもそも「Tommy」の成功で気を良くしたというか新たな取り組みとしての試み、「ライフハウス」という映画っつうかコンセプト的なものを企画していて、あれこれしていたみたいだけど、結局コンセプトとストーリーが誰にも理解されずに放置プレイ状態になってしまったので、せっかくだから出来上がった曲を生かしてアルバムを作ろうってことで出来上がったのが「Who's Next」。だからロック界のこの名盤は流産アルバムとして呼ばれることもあって、それはピート・タウンジェンドからしてみたらそういう位置付けになるんだろうと思う。故に本人はいつまでも納得しないままこの作品の高評価を聞くことになり、またジレンマに陥るという、やっぱり彼の人生は全てがコンプレックスから始まっているのだ(笑)。例えば鼻がでかくてよくいじめられたっつうから、どうせならこの鼻を世界中の奴らに見せてやろうってことでバンド始めたワケだし(笑)。ボーカルのロジャーには絶対にケンカで勝てないからロジャーに文句言われない曲をいっぱい作るんだってことで優れた作曲家になったワケだったり(笑)。ま、屈折した人だよ(笑)。
で、この名盤、冒頭からやっぱり斬新だよなぁ。アルバムをプレイヤーにおいて再生するといきなり「Baba O'Riley」の宙を舞うシーケンシャル音が左右を飛び交っていて、今聴いても何事?って思うくらいに衝撃的なイントロ。そこからキメがガツーンとくる、正にこの頃のザ・フーらしいダイナミックでワイルドな、そして重要なのがかっこよい、っていうこと。そんなサウンドでロジャーの高音マッチョな歌声が制してくれるし、これもね、やっぱりレコーディングがすごくしっかりしていて、一度プロのサウンドスタジオにこのリマスターCDを持ち込んで滅茶苦茶大音量でこれを流したんだけどさ、そしたら知り合いのエンジニアも改めて驚いたって言ってたけど、完璧なサウンドマスタリングっつうか録音方法っつうかそういうもんらしくて、そこで再生された音は多分ホントにザ・フーがスタジオで奏でていたワイルドなサウンドに近いんだろうなぁと思えるくらい精巧に作られていたんじゃないかな。メイキングDVDでこの「Who's Next」ってのがあるけど、これを見れば多分そういうのがわかると思う。ぞくぞくするよ、ホント。で、この曲のラスト、バイオリンだよバイオリン。この部分だけキースがプロデュースしてるっつうさ、ひとつの曲だけど、ピートが作ってアレンジする時はメンバーの意見を採り入れてさ、キースがここだけプロデュースって面白いなぁ、と。で、ここでバイオリン弾いてるのがデイヴ・アーバスだっけっか?イースト・オブ・エデン
あ…、いかん、書きすぎてるので、ショートカット♪ もちろん二曲目「Bargain」もこの頃のザ・フーの独特のノリでやっぱジョン・エントウィッスルのベースが美しいし、キースのとんでもないドラムがやっぱり強烈。次の「Love Ain't For Keeping」は凄く好きな曲でね。ロジャーの超高音域の歌が何とも言えない切ない美しさを出していて、曲の美しさが素晴らしいんだなぁ。「My Wife」はジョンの代名詞的にず~っと演奏されてた曲だけど、やっぱ自己主張が凄い(笑)。別にピートと合わせたワケじゃないけど「Bargain」と似たようなノリになっているってのも不思議。それから「The Song Is Over」…、名曲中の名曲のひとつだと思うけど全然スポットが当たらない曲で、裏名曲かもしれないな。最後のヴァースで後にリリースされる「Pure and Easy」が使われるあたりが「ライフハウス」の名残なんだよね。いやぁ、名曲だよこれ。
で、B面、ピートの才能のオンパレード。「Getting In Tune」も綺麗で美しい、そして繊細な楽曲でこれほどの美しい旋律を聴けるってのはあまりない。しかもそれが乱暴者の代名詞でもあるザ・フーから奏でられるってのが面白くてね、基本的にバラードなんつうクサイものはほとんど持ち合わせていないバンドなんだけど、美しい旋律を奏でる曲はいっぱい持っているんだな。綺麗だよ、ホントに。それは次の「Going Mobile」も同じで、ピートが歌ってるからトリオのザ・フーの生ライブ録音に近いモノらしいけど完璧だもん。アコギでこんなにロックしてるもんだから凄く不思議感があるし、ソロの音色が強烈ってのはメイキングDVDでも言ってるね。この時のジョンの笑顔が良い。で、有名なバラードらしき曲「Behind Blue Eyes」。うん。才能の塊としか言えないね。最後…、いやもう世界最高傑作のひとつに数えられること間違いない「無法の世界」。「Baba O'Riley」と同じくシーケンシャル音が宙を舞って冒頭から盛り上げるんだけど、完成度の高さと言ったらそりゃもう素晴らしいの一言だし、ギターにしてもベースにしてもドラムにしてもザ・フーここにありっつうくらいの演奏力の高さを存分に聴かせてくれるし、全てが絶妙なタイミングで自己主張していてさ、曲の邪魔になるところがない。ロジャーにしてもそれは同じで、もうねぇ、とんでもない曲だよ、これは。最後まで気が抜けないし、やっぱり印象的なのは映画「キッズ・アー・オールライト」での演奏シーンでレーザー光線の後のロジャーの叫び声でのピートのスライディングシーンだよなぁ…、ここ最高にかっこいいもん。この曲を真剣に聴いてかっこよさがわからんヤツにはロックを聴く資格はないだろ、とも思う。うん。
あ~、やっぱ書いたら書くなぁ…、新年一発目はこいつを大音量で流して気分良くロックしたところで超満喫!今年もロックするぜ!
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