Public Image Limited - Paris Au Printemps

0 Comments
Public Image Limited - Paris Au Printemps


 ロックってのは実に色々な表現の仕方があるものだ。魂込めて吐き出すのも一つの方法だし、ひたすらに内向的に絶望感を煽っていくのもひとつ。そこらヘンの好みというのが音楽形態に表れてきてリスナーを選ぶと言う感じだけど、聴く側はそこまで意識していないから好みというだけでの基準になるのかな。もうちょっと音楽的見地の高い人はそうでもないんだろうけどさ。多感期にそういうのを聴くとシリアスなのとくだらないのが判ってしまうんじゃないかな…、ってかシリアスなのに出会ってしまうとそのシリアスさに気づいてしまうというかね、感性にもよるか。

 P.I.Lのライブアルバム「Paris Au Printemps」。1980年リリースのパリでの二日間のライブの編集アルバムだけど、それなりにキャッチーな曲なんてのはひとつもなく、ただただひたすらにストイックにアバンギャルドに実験しているバンドの進行形をそのまま記録しているもので、商業的見地はまるで入っていないというアルバム。それだから故に売れてしまうというか、ジョン・ライドンらしいというか、パンクの行き着く先にはこの手の妥協なしの路線をひたすら突き進むしかないと言うか…。芸術肌なんだろうね、基本的に。だから敏感な音をも察知して作り上げているし、そもそも作り上げるってことが出来る時点で芸術肌でしょ。自分がこういうのやりたいって見えてないと他のメンバーに伝えられないワケだし、それで出てきた音が自分が狙っているモノであるならばそれはもう完全に芸術家。しかも今まであまり聴かれる事のないサウンドだったりすればそれはもうあれみたいなこれみたいな、じゃなくてオリジナルな頭の中を伝えるしかないんだから見えてないと出来ない。そのセンスが凄いと思う。

 そしてこのライブだ。観客なんて思い切り無視ってくらいにストイックな感触、しかも「ダマレ」ってな発言で観客との距離を思い切り開けて、やりたいことをひたすらに実験的に展開している。うん、思い出してみればドアーズのライブもこういう雰囲気はあったな。そしてP.I.Lというバンド出来には最初期のオリジナルメンバーでのライブってことで貴重な瞬間の記録、そもそも「METAL BOX」の曲とか不可能だろ(笑)。しかしこういうのもしっかりとパンクだもんな…、更に言えば、パンクの発展系のくせに思い切り知性を感じるというのも不思議な話で、こういうロックの側面に惹かれるリスナーの気持ちは良く分かる。感受性高いんだろうなぁ…。



関連記事
フレ
Posted byフレ

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply