Flower Travellin' Band - Satori



60年代末期、日本発ながらも真っ向から英国ロックと渡り合い、そしてカナダやアメリカに乗り込んでいった果敢なバンドがいた。元々は内田裕也が参加していたフラワーズと云うバンドが走りとなったものの裕也氏は裏方業に回り、フロントはジョー山中氏をメインとする正に英国然とした重いハードロックを演奏するバンドとして、そして世界進出を目標として作られたバンドがフラワー・トラベリン・バンドである。デビューは1969年、ファーストアルバム「ANYWHERE」でデビュー。これがまた…サバスだのアニマルズだのクリムゾンだののカバー曲で占められていて、その独自の重さというか解釈というか混沌さというか、日本人的な解釈がその後のバンドの足取りを掴むにはうってつけのアルバムで、ジャケットがこれまた良い。ふざけていて素晴らしいと思う。ダブルジャケットだから開くと更に面白く見れるんだけどね。
で、やっぱりこのバンドの真髄が聴けた日本のロック史に燦然と輝く、そして世界にターゲットを定めて放たれたアルバムが「サトリ」だ。この頃の日本は日本発というバンドの売り方を知っていたと思う。そこかしこに日本風な味付けは出てきているんだけど、決して和風なのではない。仏をあしらったジャケットにしても和風ではない、日本を売っている。音の中身も同じで演歌的な日本的なものではなく、明らかに英国ロックをベースにしたハードロック調且つ日本風の独特のおどろおどろ感みたいなものと間合いをうまく紡ぎ出して音世界を作っているのだ。このセンスはホントに素晴らしいし、今でもやっぱり燦然と輝くレベルのロック。媚びることもなく、出し過ぎることもなく、自然体で真っ向勝負。長く続けば結構いけたんじゃないかなぁと思うけど…、ま、それはそれ。
この「サトリ」というアルバムだが、全5曲、曲のタイトルは「Satori 1~5」です。うん。組曲。このアルバムが出たのが1970年。その時代に既にハードロック調で組曲なわけ。日本ね。凄いんだ、これがホントに。でさ、日本人だからなんかこう、余計にその間合いってのがわかっちゃうからツボにハマルんだよ(笑)。シャレにもならないけど、ホントに悟りたくなるもん(笑)。日本のロックなんてさ、って思ってる人も多いと思うし、自分もそうだけど、このバンドは正直に世界のバンドとしてまっとうに通じるレベルだよなぁ、と今でも思う。凄い。
ストーンズの幻の日本公演、1974年だっけ?この時の前座バンドはこのフラワー・トラベリン・バンドと決まっていたらしい。もしストーンズが来日していたら、このバンドも解散しなかったかもしれない、そう思う。うん、英国の同時期のバンドと一緒に聴いていてこれほど違和感なく聴けるバンドってない。騙されたと思って聴いてみてよ。
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