Kiss - Unmasked

3 Comments
Kiss - Unmasked (1980)
仮面の正体

 バンド単位で活動しているのに外部ライターの曲を入れてプレイするなんてのはそりゃもう昔はファンが皆離れていくってなくらいに軟弱なお話だったのだが、いつしかそれも当たり前になってヒットを放っていくようになったのか。もっともそういうのを嫌うバンドもあるし、本当に音楽的才能に恵まれていればそんなことしなくても曲はどんどんと溢れ出てくることだろうし、そのヘンが真の才能を見極めてしまえるひとつの基準になってしまった感もある。ヒットソングの作り方、っていう別の勉強なのかもしれないけど、それはそれで別の意味で嫌われると言うか…。

 Kissの1980年リリースの「仮面の正体」。レコードを買って、中身を開くときっと中ジャケにキッスのメンバーのメイクしていない顔が出て来るに違いない、と思わせるタイトルとアメコミジャケットで凄く期待したアルバム。ところがそんなことはまるで無いじゃないか、と騙された感があった中、レコードをターンテーブルに乗せて見るととんでもなくキャッチーでポップでロックじゃない軽快なサウンドが流れ出てくる。騙された挙句にこんな曲ばっかりかよ、という反動もあってこの「仮面の正体」は当時とっても不評で、キッスは終わった、という感は強かったな。事実世界を席巻していた頃のようなR&Rは全然聴かれないでどっちかっつうとキャッチーなポップスをちょいとロックっぽくしたような、それこそAORじゃないか、ってくらいの曲ばかりで覚えやすいけどそんなのキッスに求めてないよ、ってなのが多くてね。AOR的な曲としては凄く良く出来てて、カッコ良いし、ロックとの相性も良い、さすがのセンスだ、と唸らされるような曲ばかり。その意味ではやっぱり天才的な才能の持ち主達で、アルバムとしては実に良く出来てる。良い曲も多いし、売れて何らおかしくない作品。

 ところがキッスがそれをやっても売れなかったというのがこのアルバム。キッスに求めてるものが違うからそんな結果になっただけで音楽的に普通に聴いてみれば当時のヒットアルバムなんかにヒケを取らないくらいに味わい深い作品。バリエーションに富んだ作品で、聴きやすくてしっかりスパイスも効いているしね、さすがですよ、こういうのが作れるのは。それもキッスの楽しみ、とも言えるけど、これまでに獲得したリスナーの期待とはあまりにも正反対の方向に進みすぎたか、ピーターの不在やエースと仲が悪いの前にそもそものキッス論がブレたってことの方が問題だったのかもしれない。良い曲揃ってるしジーンの曲も凄くカッコ良いけど。





関連記事
フレ
Posted byフレ

Comments 3

There are no comments yet.
グラハムボネ太郎  
後追いの私は

実はこのアルバムを一番聴いてる。つまり一番好きですね。ポップに振り切ったポールの曲とそれでもギリギリエッジを効かせてるエースの曲、特にエースがたまらないです。
あっ、後追いと阿藤快は似てる。

2017/06/27 (Tue) 05:42 | EDIT | REPLY |   
お〜ぐろ  

結構好きなアルバムですね
エースがボーカルの曲が特に好き
前作のディスコ調とか中途半端なのの反動かどうかアレですがポップさが突き抜けてて良いです
ただ、音がスカスカで・・・
もうちょいしっかりした音作りしてれば名作になりえたのではないかと

2017/06/27 (Tue) 22:25 | EDIT | REPLY |   
フレ  
Unmasked

>グラハムボネ太郎さん
キッスって人それぞれで思い入れ違うから色々な人のお話聞くの面白いです。

>お〜ぐろさん
音はねぇ、確かにもうちょっと、というのはありますね。

2017/07/11 (Tue) 21:14 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply