King Crimson - Heroes (Tribute to David Bowie)

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King Crimson - Heroes (Tribute to David Bowie)
ヒーローズ~トリビュート・トゥ・デヴィッド・ボウイ

 王道ロックを聴き漁るには実に贅沢な環境が揃っている現代、それに加えて現役で進行中のバンドも幾つかあるのだからジジイになったとは言えどもそれなりの作品や面白い試みってのもリリースされてくるし、もうライブアルバムとか怒涛のようにリリースするのも当たり前になってきて、一時期のアングラものなどでライブを一生懸命探して聴くなんてのも減ってきただろう。こんだけオフィシャルが色々出してくれればそりゃリスナーも満足だしね。そんな試みを先陣を切って進めてきたのがキング・クリムゾン、今回は意外と言えば意外、あると言えばある音源をリリースしてきた。

 King Crimson「Heroes (Tribute to David Bowie)」。もちろんライブでの演奏による収録だけどね、かのロバート・フリップ卿がボウイの「ヒーローズ」にイーノと共に参加していたのは有名な話だろうけど、クリムゾンのイメージからボウイってのはかなり異なった方向にあったからどんなんだろ?ってな興味は引いたと思う。その答えがあの「ヒーローズ」で、なるほど、と唸らされるものではあった。見事に三者三様のセンスが合体したヨーロッパ的な曲に仕上がり、その後名曲として演奏されてきた。ボウイ亡き後、この遺産をまさかロバート・フリップ卿がKing Crimsonというバンドで引き継ぐとは思わなかったが、それがここで実現。言われてみれば今のメンバーにはいないけどエイドリアン・ブリューだってボウイと絡んでたし、割と接点のあるバンドだったとも言えるか。まぁ、往年のリスナーにとってのクリムゾンってのはジョン・ウェットンとかブラッフォードだからちょいと異なるが…。

 そのクリムゾン版「Heroes (Tribute to David Bowie)」、恐ろしいほどに気合の入りまくったロバート・フリップ卿のレスポールでのロングトーンによるあの効果的なサウンドが強烈で、終盤になればなるほどにこの気迫が狂気とも思えるほどに暴走し、真髄を刺してくる。なんだこの気迫は。多分本人普通に弾いてるんだろうけど、曲として出てきた時には素晴らしい効果として発揮されている。バンドの演奏の完璧さも確かだから故、そこにはボウイの「ヒーローズ」のカバーという概念よりは明らかにKing Crimsonの「Heroes」としてプレイされている姿が聴ける。恐るべし。このミニアルバムには他にも今のクリムゾンのライブ曲が入ってるのでもちろん聴くのだが、70年代のあの狂気の曲がここまで洗練された知的な音楽として演奏されていることに少々驚きを覚えるものの、なるほど知性あるメンバーで的確にプレイされており、十分に楽しめた。なかなかユニークなバンドの進化形態と言えるだろう。久々に接した近代クリムゾンの姿だが、実に高尚な世界へ入っているバンドになっているし、ロックというものもきちんと体現しているし、怖いものなしだろう。素晴らしい作品に感謝。







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フレ
Posted byフレ

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