Muse - Absolution

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Muse - Absolution (2003)
Absolution

 今はそうでもないのかもしれないけどやっぱりアメリカの音楽と英国の音楽では大きく異なる世界がある。特にロックなんか聴いてると明らかに異なるしい、良くも悪くもアメリカは大衆的で作り込まれているものが当たり前で、パッケージになればそれはどんな形であれ商品でしかないのだから聴きやすく、無駄はなく市場にリリースされてしまえば未来永劫作品として残るものなんだから出来る限り全力を尽くして完全なものを作り上げる、というスタンスが大きい。だから故に最高の妥協点で作られている事が多く、全てのバランスが良い状態で、それができる限り上の方にあるべきだ、ということだ。英国他ヨーロッパではそこよりももっと芸術的価値に重きを置いているからか、商品を売るためというよりは人の心に引っ掛かるためには芸術性を高めて訴えかけていくものだろう、という漢字科。だから故に実験段階でのアルバムなんかも普通に出て来るし、共に育つみたいな所がある。

 Museの2003年リリースの3枚目のアルバム「Absolution」だ。深い。とにかくラウドでありオルタナティブでもありギターロックでもあり、歌ものとしても相当に響く作品で芸術的な繊細さをも持ち合わせた傑作だが、しっかりとロックのマインドを伝えることに成功している作品、バンドでもある。こういうのはアメリカではまず出てこれない。そして自分的にはやっぱりこういうのには惹かれるのだな。大衆作品よりもニッチ作品の方が好むし、それこそ芸術性が高い方が聴いていて深みが合って楽しめるし、味わえる。やはりせっかくだから聴いたなら何度でも味わいたいし、知りたい、深さを味わって満足したいという欲求が募る作品に出会いたい。そんなアルバムのひとつにこの「Absolution」はある。このアルバムに限らずMuseの作品は大抵そういう欲求を思わせるもので、ハズレ無しのバンドだから楽しめる。何だろうな、この不思議な魅力は。ハードロック的なプレイもあるしセンシティブな曲やプレイもあるし説得力のある歌い方ってのもある。バックもテクニカルでそれぞれが楽器を探求して音に反映させているから多様な音が鳴っている。トリオ編成のくせにまったくそんな事を考える事のないくらいに多くの音色を操っているのだ。これは見事でレコーディングだけでなくてライブでもそういう感覚になるのだから恐れ入る。

 3枚目の作品にしてこの完成度の高さ、そして今でも現役でフェスのトリを飾るライブバンド、世界中で外すことのないメインアクトをスタジアムクラスでもこなせるバンドということでその実力と人気は世界へと認められている。U2的とも言えるしRadiohead的とも言われるが、最早明らかにMuse的と言って過言じゃないくらいに独自世界のリスナーを獲得している。その勢いは前作「Origin of Symmetry」あたりからだけど、この「Absolution」もトータル的に良く出来た作品で、味わい深い。今でもじっくりと聴けるしね。そしてオールドロックファンにはこのジャケットでちょっと頭をよぎるものがあるだろう…、そう、ストーム・ソーガスンなんだよね、これ。



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フレ
Posted byフレ

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