Caravan - Better By Far

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Caravan - Better By Far (1977)
Better By Far

 カンタベリーの雄、ソフトマシーンは既に別の世界へ、もう一方の雄であったキャラバンもメンバーが離れまくっていってバンドはあるもののパイ・ヘイスティングのバンドになりつつあった頃、こういった傾向はCamelでも同じだったし結局どこのバンドでもそうやってメンバーが変わっていって、そもそものクリエイターがしつこくどこまでやり続けられるか、その間での共作者は誰が良かったか、とかそんな話になるのだろう。あまり聴かれないアルバムってのは大抵そういう過度期だったりするワケで、当然バンドが上手く進んでいなけりゃレーベルもプロモーションしないだろうし、そうすると売れないから存在を消されるアルバムなんてのも出来てしまうワケだ。再発されないとかさ。

 1977年リリースのCaravanがあのトニー・ヴィスコンティと組んだアルバム「Better By Far」は見事に地下に置いてきぼりにされた作品で、Caravanの歴史からもこのヘン以降はほぼ取り上げられることなく存在を消されていったに等しい。CD再発の頃ももう全然出てこなくてさ、そんなアルバムあったのか、ってくらいに後追いだとわからない作品だったりした。初期のは名盤と言われることも多いし、プログレ聴くなら、カンタベリーに手を出すなら、なんて文句で結構取り上げられてたのに、このヘンはもう無視だもん。CD再発も出ないかなぁ〜って思ってたけど全然出なかったし、悩ましい作品集だったな、このあたりは。ところが聴けるようになって聴いてみたらこれが結構良い作品で、きちんとCaravanの作風を保ってて、カンタベリー風ポップスが展開されててさ、ちょっとテクニカルな部分が引っ込んでるけど、相変わらずのパイ・ヘイスティングの歌声であのフワフワ感は健在、楽曲もシンクレアさん達いないからちょっと軽やかさに欠けるけど、しっかりCaravanしてる。

 1977年だから英国はパンクの嵐に呑まれてる頃で、こんな軽やかな音は誰も求めていなかっただろうし、メンバーも既に大半が入れ替わっていたから過去のバンドとして捉えられていたのは事実だろう。そこでボウイやT-Rexとの仕事で名を挙げたトニー・ヴィスコンティと組むんだから狙いはあったんだろう。アルバムとしちゃ全然悪くない、どころかかなりの秀作で普通にCaravanのアルバムの中でも良い作品の部類に入る。こういう作風ってのはホントにセンスだよなぁ…。幾つかの曲なんか完全にT-Rexだろ、ってのもあるし(笑)。



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フレ
Posted byフレ

Comments 2

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おっさん  

聴いたことがなかったです、今聴くと良いですね。
やはり聴いているのはDeram時代です。

2017/03/27 (Mon) 06:34 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>おっさん

うん、そうなんですよ。デラムばっか聴いてたけど、このヘンも悪くないんです。

2017/04/02 (Sun) 20:54 | EDIT | REPLY |   

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