Thin Lizzy - Black Rose: A Rock Legend

アイルランド産ロックバンドと云えば、あまり知らないのでやっぱシン・リジィになっちゃうし、中でもケルト風味と云えば初期三部作が挙げられるけど、ここはやっぱり永遠の名作「Black Rose: A Rock Legend」だ。
1974年にシン・リジィに参加したことのあるゲイリー・ムーアが数々のプロジェクトに尽く失敗した後、再度とばかりにシン・リジィに参加して創り上げた気合い満点の傑作となった「Black Rose: A Rock Legend」。誰が何と言っても最高の一曲が収められていることに意義は無いだろう。タイトル曲そのものだ。スコット・ゴーハムはギターソロに参加できる技術力がなかったためかすべてのソロはゲイリーが一人で被せているらしいが、それにしても鬼気迫るものがある。そしてフレーズは古くからアイルランドに伝わる民謡の旋律を用いて見事にハードロックへと昇華させているトコロは正にこの時代のゲイリーとフィルの産物。いわゆるアイルランド民謡では「Black Rose: A Rock Legend」で聴かれるソロの旋律をフィドル=バイオリンで奏でていて、全く独特のサウンドだったが、よくもまぁ、ゲイリーはそれをギターで弾けたものだ。ギターって、半音づつのフレット区切りになってるからフィドルみたいにフレットレスの曖昧な音が出せない楽器の作りになっているし、それを一切無視してはっきりとした音階でのフレーズで展開しているゲイリーのテクとセンスに脱帽。更にフィル・リノットの哀愁漂う歌声がこの曲を更に高見に持っていっている…。う~む、何度聴いても素晴らしい。
他の曲はどうかと云うとそれほどアイルランド的という感じではない。ただ、「Sarah」っていうアコースティックな曲は凄く好きで、確かセカンドアルバムにも収録されていながらもここで再録された楽曲。だから凄く素朴で初期の作品群に通じるし、本作ではアクセント的に収録されている。B面も結構イケてる曲が多いけど、どうしても「Black Rose: A Rock Legend」の前フリみたいになってしまっていかん。…とは云え、ゲイリーのギターソロはどれもこれも気合い満点なので飽きることはない。「アリバイ」もゲイリーだったな…と改めて思う事もある。それでも彼は放浪癖のギタリストだから定住はしなかったけどね。
確か1978年か79年のツアーでそのままゲイリーは離脱しちゃったかな。ソロでも出来る自信もあっただろうし、ドラッグの影響もあったのかもしれない。その頃って契約絡みの裁判でもやってたのか…?まぁ、その辺ワガママに生きてきた人らしいので。それはともかく、後にゲイリーはフィル・リノットと共演シングル「Out In The Feild」と云うこれまた最高にかっこ良い作品で、気合い満点の傑作シングルをリリースする事で友情の確認をしているが、その後しばらくするとフィル・リノット死去という残念な出来事を迎えている。
かなり話が脱線したけど、シン・リジィ伝説はいくつもある中、とにもかくにもこの「Black Rose: A Rock Legend」という作品の凄さはどれだけハードロックを聴こうとも決して褪せることない永遠の作品。特にギタリストにはそうだろう。
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