Ryan Adams - 1989

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Ryan Adams - 1989 (2015)
1989

 アルバムまるごとカバーってアリなんだろうな。クラシックの世界と同じでロックも新たに作るだけでなく丸ごと再演奏しちゃう、それを収録して売っちゃう、みたいな風になっていく世界もあるのだろう。昔々にジョージ・サラグッドがかっこいいR&Rはもう昔に作られてるから自分たちはそれを演奏するだけだ、みたいに言ってるのを聞いて、それもそうだけどさ、なんて気もしたが確かにね。そういう解釈もあるだろう。ところが才能あるミュージシャンがアルバム丸ごとカバーするってのはまた意味合いが異なる、こういうのもあるのか、って気がした一枚。

 ライアン・アダムスって古いロックばかり聴いている人間には全然ピンと来ないんだけど、アメリカのポップロックシーンではそれなりに名が通っている人で、良い曲作ったりするんだよね。割とメジャーな人でもカバーしたり曲作ってもらったりとかあるみたいで、知られている。そのライアン・アダムスが何とも驚くことにテイラー・スウィフトのアルバム「1989」を丸ごとカバーした作品「1989」を作った。テイラー・スウィフトのはリリースされた時に聴いたんだけど、ここまでポップスターに舵を切ってしまった作品は到底聴けるものでもなくってさっさと見切りを付けてしまったので曲がどうのとか全然覚えてなくってね、そんなのライアン・アダムスがカバーしてどうなるんだろ?って思ったんだけど、蓋を開けてみたらびっくりなアレンジに仕上がっててさすがだなと。

 テイラー・スウィフトのが明るく陽気なアメリカン・ポップスでしかないのに、ライアン・アダムスのはひたすら鬱でダークな雰囲気を持った作品になってる。同じ歌詞同じメロディをベースにしているんだけど、こんだけ変わるモンかね?さすがミュージシャンの中のミュージシャンだなぁと。音楽をちゃんと知ってるからこそ出来るアレンジの変貌で、そこにロックの暗い部分をきちんと入れて仕上げてる。だからこの「1989」というアルバムの楽曲は即座にして2種類の陰と陽を持つアルバムが出来上がってしまったと言う珍しいパターン。この手を使ったら世界中のアルバムが何倍にも膨れ上がってしまうけど、楽しいかもな、と思った。まだ名盤とか名付けられる前のカバーだからほんの数年の時差でリリースされたアルバムなんて後になれば同じような扱いになってしまうだろうし、面白い試みだ。





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フレ
Posted byフレ

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