Thin Lizzy - Nightlife

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Thin Lizzy - Nightlife (1974)
Nightlife

 アナログ時代に作られたアルバムはA面一曲目、そしてB面一曲目というふたつのオープニングを考える必要があった。B面一曲目だって、それなりにインパクトを持つ曲ってのを配置するのは至極自然だったし、A面最後に終息を感じさせる曲を持ってくるのも普通だった。意図的にそこを無視したトータルアルバムみたいなのもあったりするし、単に曲を並べただけってのもあるけど、大抵はA面B面の始まりと終わりってのはそれなりの曲が配置されていたものだ。CD時代になってからはそういうのはないから立て続けになってるけど、古いアルバムをCDやDLで聞いているとその微妙な展開ってのが抜けてしまって面白味に欠ける…と言うか叙情性に欠ける。アナログの良さはそういう間でもあるしさ。

 Gary Mooreもゲスト参加していたThin Lizzyの1974年の4枚目のアルバム「Nightlife」。黄金期の面々が揃った最初の作品で、まだまだ初期のアイリッシュ的フォークな作風の延長線にあるからハードロックだぜ、って言う程じゃない。だからそんなに人気のあるアルバムじゃないが、自分的にはこの辺りは好きだ。Thin Lizzyってツインギターの王道みたいに言われる事が多いけど、それよりもアイリッシュフォークが根本にあってのギター中心なロックバンド、それもフィル・リノットの歌メロってのは本質的にアイリッシュメロディで泣けるし奥深い。このアルバムでもそれは健在で、生々しくアイリッシュなサウンドとメロディがたっぷりと聴ける。

 ゲイリー・ムーア参加の「Still in Love With You」のちょいと控えめながらも正にブルースなギタープレイは名曲に相応しい。そして、ゲイリー・ムーアじゃない、ってのを聞いて逆に驚いたくらいゲイリー・ムーアのギターと同じような旋律を奏でている「Showdown」なんてのも最高。元々ゲイリー・ムーアがデモでソロ弾いてたからみたいだね。もちろんアイリッシュ全開の「Philomena」はちょいと間違えば「Black Rose」だったよな、とか。トップの「She Knows」だって軽快なアイリッシュロック…、いや、どれも捨て曲なしの傑作。フランキー・ミラーのゲスト参加ってのも幅広い交友関係のあるフィル・リノットの人間性の賜物。ハードロック的な側面とフォーキーな側面、そこにアイリッシュ民謡の旋律とメロディを入れ込んだ独特の世界、Thin Lizzyのアルバムは多いけど、こういう混ざり方してるのはこの作品くらいじゃないかなぁ…。ここから「Black Rose」ってのは繋がってる部分あるけど、素朴なカッコ良さはこっちのがある。


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フレ
Posted byフレ

Comments 2

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おっさん  

好きなバンドです。
この当時のライブ(BBC音源)を
ラジオで聴いて良かったので、
その後のアルバムをリアルタイムで聴いていました。
解散前のライブは行ったけどメタル化していたなぁ。

2016/06/17 (Fri) 20:38 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>おっさん

初期は素朴で良いですねぇ、好きです。終盤は…、あれも有りでしょう(笑)。

2016/06/20 (Mon) 00:38 | EDIT | REPLY |   

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