Tony Williams Lifetime - Turn It Over

2 Comments
Tony Williams Lifetime - Turn It Over/lifetime (1970)
Turn It Over/lifetime

 革新的な試みを常に実験するために色々なメンバーとセッションを繰り返し、ひたすらに純粋にエネルギッシュでパワフルなサウンドを追い求めていた時代、ロック黎明期はそんな事があった。そしてロックのみならずジャズの世界でも同じような試みを常に繰り返している連中がいて新たな世界に飛び出したがっていた。そんなのが一緒にやってみようって思うのはごく自然な事柄だっただろう。ロックもジャズもなくただ天性のプレイヤーだったからこそ一緒にやってみたら何か起きるに違いないという確信の元に集まってやってみたアルバム、それが悪いはずもなくそれこそロックの魂そのものだったりする。

 Tony Williamsのソロアルバム「Turn It Over/lifetime」は名義こそTony Williamsだが、メンツはジョン・マクラフリンにジャック・ブルースにラリー・ヤングという猛者の集まりで、残念なのはトニー・ウィリアムスの歌だけで、その他は白熱のプレイのぶつかり合いによる熱気そのものが聴ける作品だ。ジャック・ブルースだってCream辞めてすぐくらいの時期だからあのままの熱気のプレイをどこかで披露したくて、そしてあのぶつかり合いをまたやってみたくて、というような方向性、すなわちCreamの延長線を求めていたワケで、今度のパートナーは申し分の無い面々となったというところか。確かにスタジオ・アルバムなんだろうけど、やりたい放題…全員ね、そして有機的にそれが機能したこの時期この時代このメンツでしか成り立たないであろう迫力とプレイがしっかりと聴ける。この類の音では曲の良し悪しが問われることはない、単なるテーマでしかないからプレイをひたすらにぶつけあっている、そういう意味では明らかにジャズな作品だ。そしてジャズから見たら本作はかなり邪道な作品になるのだろう。

 しかしロック側から見れば明らかにロックだし、ぶっ飛ぶほどのアルバムだと評価されているようだし、自分が聴いててても何か凄いな…ってのはもちろんある。これで上手いボーカリストでも入ってたら時代も時代だしそれなりのバンドになっただろうに、そこはジャズ的な発想でのアルバムリリースだった事が残念。ともあれ、後年に至る今までこうしてアルバムの存在が忘れ去られる事無くしっかりと伝えられているのだからアルバムの価値は高かったのだ。ドラマーのソロアルバムでこの音って…あり得ないよな(笑)。ジミヘンからの影響が大きかったとか…、そしてこの後の英国でのジャズロックバンドへの影響も大きく与えていたグループ、そりゃそうだろ、こんだけやってりゃ。そんなアルバムです。






関連記事
フレ
Posted byフレ

Comments 2

There are no comments yet.
デューク中島  
愛聴盤です

トニーウィリアムスは、マイルス時代から 大好きで、小気味好いってのか、手数多いし、主張しまくる それまでのジャズドラマーに無いタイプでした。この盤は、他の3人が トニー以上に主張しまくってる感じが、かえって いい結果になったと思います。

2016/06/11 (Sat) 20:20 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>デューク中島さん

化学反応たっぷり、な感じです。さすがですなぁ…。

2016/06/12 (Sun) 19:45 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply