Joe Strummer - Earthquake Weather

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Joe Strummer - Earthquake Weather (1989)
Earthquake Weather

 著しい音楽性の変化に着いていけるファン、着いていけないファン、ファンを失わずに進化させていくミュージシャンもいるから、その上手さってのも技量の一つになる。デヴィッド・ボウイなんかは変化そのものがキャラクターとしての売りになっていたし、30年変わらずというパンク系のスタイルだってある。ただ、やっぱり音楽をやっている以上はある程度の幅で進化したがっていくものなんじゃないかな。だからソロアルバムでやってみたいとか新しい息吹をバンドに持ち込むなんてことするワケで、長くなればなるほどそういうのが難しくなっていくのだろうけど。一方のファンはそれに着いて行けなけりゃ簡単にサヨナラだし、お気楽なものだ。

 Joe StrummerがThe Clashの消滅から数年後、初のソロアルバム「Earthquake Weather」をリリースする、ってのはリアルタイムで知ってたし体感もしてたけど、そりゃもちろん半分は期待、半分はきっとダメダメ路線だろうなという予想をしていた。パンク一辺倒な音をやってきた人でもないし、そのスピリッツに変化は無いけど手法はどんどんと進化してってるバンドだったし、終盤の作品なんかはもうなんじゃこりゃ?って状態だったしね、その延長線だったら終わってるな、って思ってて…、実際リリースされると同時に聴いたけど、お蔵入り。数回も聴かずにお蔵入りした気がする。その頃はもっと刺激的なのを求めてたし、こんなに軽い音を求めてもいなかったし、もっと尖ったストレートなのを欲してたしね、いくらジョー・ストラマーの音でもどうにもなぁ…って感じだった。それは世間的な市場にも現れていたようで、まるで売れ行きが芳しくなかったらしく、そのままシーンから消えていってしまった。難しいよね、こういう音楽ビジネスってさ。熱狂的なファンを持っていればいるほどどういう風に音楽を作っていけばいいのか分からなくなることもあるだろうし。

 アルバム「Earthquake Weather」は今聴けばかなりの快作で、後のメスカレロスに通じる音楽性は既に出来上がっている。ところがジョー・ストラマーの方もまだ尖ってる部分あるからあそこまでマイルドにゆるゆるにはならなくてちょっとトゲがある…だから中途半端にThe Clashらしさも感じちゃうし、でも物足りないしというような作品に聴こえちゃうワケ。実際はそんなの気にしてなくって、やっぱり色々なあのヘンの音をミックスして自分のフィルター通してゆるくやりたかったんだろうって思う。完成形はメスカレロスのだろうけど、あそこまでは時間かかったね。一方のB.A.Dなんかはさっさともっと思い切り舵を振り切ってやってたから羨ましかったことだろう。そんな事を考えながら久々に聴いてて、全然悪くないけど、これ、っていう曲やメロディも見当たらないってのも残念で、その辺りの作り込みがもうちょっと出来たら良かったんじゃないかなとかアレコレ…、いや、結局これで良かったんだろう。The Clashのリスナーにはこういう音は少々早すぎたってだけで、新しいものとのミクスチュアそのものはロックの概念だし、それを実践していた第一人者でもあるしね。




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フレ
Posted byフレ

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