Big Audio Dynamite - This is Big Audio Dynamite

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Big Audio Dynamite - This is Big Audio Dynamite (1985)
ディス・イズ・ビッグ・オーディオ・ダイナマイト(25th Anniversary Edition)

 レスポール・スペシャルTVダブルカッタウェイの使い手の一人だったミック・ジョーンズと言えばもちろんThe Clashなのだが、The Clashは割と書き尽くしてしまっているのでちょいと視点をズラしてのBig Audio Dynamiteに進んでみようか…ってほど知ってるワケじゃないんだけど、The Clashでジョーと喧嘩別れしてそのままバンド離脱した後に、The Clash時代に映画監督でもあったドン・レッツを軸にして作り上げた新たなるバンドがBig Audio Dynamiteなワケで、その来歴から知っていればThe Clashの音を想像して聴かなかっただろうけど、何せ何の情報もないまま、単にミック・ジョーンズが新しいバンドを組んでレコード出したぞ、って話しかなかったから当然ながらThe Clash路線を期待しちゃうワケよ。ところがどっこい、そんなもんどこ吹く風、己のやりたい新たな音楽世界を切り開いていくぜ、ってくらいなもんでブチかましてくれた。

 1985年リリースのBig Audio Dynamiteのデビュー・アルバム「This is Big Audio Dynamite」。まんまそのまま「これがB.A.Dだ」ってタイトル。言われてみればそうか、そういうことか、と今ならわかる。当時から何十年もまるで理解しなかったりしたくもなかったし認めたくもなかったし、無かった事にしてたからようやくミック・ジョーンズに言えるもんね、やっとやりたかった事がわかったよ、って。そりゃさ、The Clashの後期の音を聴いたり見たりしてればわかるけど、ダンサンブルな音やレゲエ、スカ、ダブにラップなんかも先んじて取り入れてホントにミクスチュアーなサウンドを出していたワケじゃない?「Combat Rock」なんてのもそんな路線で、自分的にはイマイチなアルバムだけど一応パンクロックチューンも入ってたから良かっただけで、それがなかったらやっぱりこういうのに近い音になってたんだろう。そもそもギターにこだわりなかったんだろうから、ギター中心の音というロックにする必要がなかったのだろう。単純にリズムを楽しみ様々な音楽の面白さを取り入れて仕上げていった新しい世界がB.A.Dなんだ、って音だ。

 確かに英国からしか出て来ないであろう軽さとミックス具合、あまりにも上手くミックスしすぎててミック・ジョーンズの存在感はまるで皆無になってしまうのだが、それを出しているのがミック・ジョーンズだから良いのか。この時奇しくもThe Clashも同じような路線に走ってて、別にバンドが分割される必要すらなかったんじゃないか?って思える節すらある。ジョー・ストラマーからしたらミック・ジョーンズのやってることって自分が思い描いてたのとほとんど同じようなもので羨ましかったんじゃないかな。The Clashの看板背負ってる限りここまでの音は出せないけど、バンドを離脱したミック・ジョーンズがB.A.Dだったからこそここまでメーター振り切ったミクスチュアーな音が出来たって部分もあるだろうし、なるほど、今にして思えばそういう見方もあるな。

 そしてこの「This is Big Audio Dynamite」というアルバムの音、それでも好みかどうかって話になるとやっぱり好みじゃないな。ただ、聴いていると面白さはあるし斬新なアプローチだから大したバンドだなって思うよ。でもさ、ギターがもっとガツンと鳴ってこそのロックだろ、ってのがあるからミック・ジョーンズがここまで魂売らなくてもってのがあるかなぁ…、複雑だ。音楽クリエーターとしての才能を出して来たってことだけど、そんなに才能あったんだろうか?なんて思う部分もある。




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フレ
Posted byフレ

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