King Crimson - Earthbound

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 ボズ・バレルの名が出たところでプログレッシブ・ロックの代表格として君臨しているキング・クリムゾンを聴いてみる。一番強烈なのはもちろん大顔面ジャケットのファーストアルバムだが、ボズ・バレル期のインパクトが強力なのは「アースバウンド」でしょう(笑)。いや、冗談ですが、このアルバムを初めて聴いた時にはホントにぶっ飛んだ。ツラツラと書く必要性のあるアルバムではないのですが、どんなもんかと云うとですね、ライブアルバムだけど、土砂降りの雨の中で行われた野外ライブを車の中でラジカセで録音したという逸話を信じられるくらいの音質で、そんな環境でライブをやることになったクリムゾンの面々の気持ちとすればとんでもなくヤケになっていたというのも頷けるのだが、その気持ちがそのままライブの演奏として表現されており、良く言えば滅茶苦茶熱い熱狂的な演奏、悪く言えば単にブチ切れた状態での正にカオス状態で演奏されたとんでもないもの、しかもまともなアルバムとしてリリースされたにもかかわらず、史上最悪の音質で昔のブートレッグと大差ない音で収録されていた。その代わり演奏が凄い。ここで聴ける「21世紀の精神異常者(略称:21バカ)」はボズ・バレルが歌っているのだが完全にぶち切れている。ホントに。もしかした音質のせいでそう聞こえるのかもしれないけど、鬼気迫ることは間違いない。CD出たのかな?←紙ジャケで出たらしい

 で、そんなのを真面目に書いても役に立たないので、気を取り直して「アイランズ」を聴くが、やっぱり混沌としたサウンドなことに変わりはないのだった。ハマると凄い心地良いんだけど、ハマれないと大変耳障りなところがクリムゾンを聴く上での心構えなのだ。とことん重いロックなんだな、と実感する。ヘビメタとかの重さとは根本的に異なる重さはクリムゾン独特のサウンドで、多数のフォロワーが真似しようと思っても絶対にできないこのサウンドはやはりプログレの帝王として君臨しているだけのことはある。その中でも「フォーメンテラ・レディ」のようにちょっと異質なふわっとする軽いメロディーを持つ小曲を持っているところが聴いている側の興味をそそるところか。しかしこの後よりキャッチーなロックバンドであるバドカンに参加するボズ・バレルがよりによってこれほど混沌としたサウンドを奏でていたバンドで歌を歌っていたっつうのもなかなか不思議なもの。もっとも彼はクリムゾンでベースを覚えたというからそもそも変わった人なのかもしれない。で、ボズ・バレルとクリムゾンの関わりはこの一作で終わり、新たにジョン・ウェットンビル・ブラッフォードエディ・ジョブソンデヴィッド・クロスというテクニシャンを揃えた黄金期クリムゾンに突入することとなる。これも凄いんだけど、長くなりすぎるのでまた今度♪

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フレ
Posted byフレ

Comments 14

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Ocean  

こんばんわ。

アースバンド
高校の頃、友人に聴かせてもらったのを思い出しました。確かに音悪かったです。特にカセットテープだったので、さらに悪かったような気が。でも、おっしゃるようにまじ切れしてましたね。
フレさんの文を読んでたら、なんだか友人の部屋での光景が目に浮かんできました♪
CD出てるんですか。買いたい気もしますが、今聴くときついんだろうな~(汗

2005/11/22 (Tue) 00:16 | EDIT | REPLY |   
Ryusaku  
はじめまして

トラックバックありがとうございます。

ボズ・バレルってR・フリップをかなり恨んでいた様なインタビューを読んだ事があります。
アースバウンドはクリムゾンの作品の中で、最もロックンロールしているんだけれども…。リリース当時の評判を知りたいです。毎日のように愛聴していた人とか、いたのでしょうか?

2005/11/22 (Tue) 03:16 | EDIT | REPLY |   
Lacey  
はじめまして

トラックバックどうもありがとうございます。

>70年代黄金期を聴きまくり

うらやましいです。
(この記事ではなくて恐縮ですが、
ディテクティブ、シルバーヘッドのお名前まで出てきて・・・!!
(”16and savaged”大好きなんです)

またお邪魔させていただきますね。
よろしかったら私のところへもまた遊びにいらしてください。

2005/11/22 (Tue) 13:49 | EDIT | REPLY |   
黒已(クロイ)  
おぉお

コメント失礼いたします!

トラッシュバックをたどるとKing Crimsonの記事が!嬉しいです。

自分が小さいときから何気にKing Crimsonは聴いていました(親父の影響で)
なのであのファーストアルバムのあの顔はとても馴染み深い…

最近またふと聴きたくなって借りたんですがやっぱり良いですね!
「重い」の事についてはかなり同意です。
自分は闇に浮かぶような感覚的な部分がとても好きなので、King Crimsonはなんの弊害もなく聴けました。
でもあれが駄目な人もいるんですよね…


やはり自分の好きな音楽記事を見るのは楽しいです
ありがとうございました!

2005/11/22 (Tue) 20:38 | EDIT | REPLY |   
フレ@ロック好きの行き着く先は  
多々コメントありがとうございます。

んなことでまとめてコメント返し致します。また皆様のブログサイトにもお邪魔致します~。

>Oceanさん
いい思い出ですね(笑)。僕も友人に聴かされたのですが、マジ「何だこりゃ?」ってのが第一印象でしたから。でも内容はすんごいんですよね、これがまた。だからCD買いたいけどっていうのわかります(笑)。CDの音じゃないもん(笑)。これの5.1chとか出たら楽しいだろうなぁ、売れないだろうけど(笑)。

>Ryusakuさん
確かにボズはフリップを凄く嫌ってるみたいですね。確かに相性が悪そうな二人なので頷けますが、、、ゴードン。ハスケルに対するフリップ卿の評価に比べればまだマシだと思いますけどね。しかしリリース当時の評判とは…確か日本盤はポリドールの再発時に初めてリリースされたので「アースバウンド」は当時噂でしかなかったのではないでしょうか。リアルで聴いていたイギリス人あたりでは相当ハマりこむファンもいたようですね。

>Laceyさん
70年代ロックの黄金期、これは変わらない事実でしょうねぇ。とは云え私も後追いです(笑)。シルバーヘッドなんてもう大好きで、「16 and Savege」は名盤でしょうっ!またそちらにもお邪魔しますね♪

>黒已(クロイ)さん
多々趣味合いますね(笑)。大願面ジャケは確かに名盤すぎますっ!「Moon Child」から本当に静かな中で聴くと美しさが倍増する効果音の長い長い音世界の後に広がるタムタムの音から更に世界に日が昇るかのような「In The Court of The Crimson King」の流れは他の何者にも変えられない至福の瞬間ですもん。

2005/11/22 (Tue) 22:01 | EDIT | REPLY |   
bongokid  
記事を読んで

こんばんは。こちらの記事を読んで、クリムゾンのことを書いてみようと思いました。とくにこのメンバーの頃に愛着があるんですよ。

2005/11/23 (Wed) 00:46 | EDIT | REPLY |   
sugi  
はじめまして

はじめまして。トラックバックありがとうございます!
70sロックはリアルタイムではなく、私は80s生なのですが、後から見聞きする度に思うのは、濃いなぁという感じでした。
といいつつ、2000年にクリムゾンを見に行ってしまい 笑、いろんな意味で衝撃を受けてきました。

2005/11/23 (Wed) 12:17 | EDIT | REPLY |   
いたち野郎  
TBありがとうございます

「アイランド」はクリムゾンの中でもかなり聴きました。ジャケットと演奏がとてもマッチしていて、これぞプログレ、という印象があります。
「アースバウンド」は音、凄いですよね(笑) 当時HELPレーベルから発売されたことを考えると、あのひどすぎる音質は実験的にあえてやったんじゃないか、とすら思ってしまいます。

2005/11/29 (Tue) 02:20 | EDIT | REPLY |   
evergreen  
アイランドが一番好き!

TBありがとうございます。しかし色んな方がBLOGやってらして、ここへ伺うとびっくりします、それだけフレさんが人気あるということですよね。私は天邪鬼なのでアイランドが好きです。当時アイランドをきいてああーこれでクリムゾンTHE ENDだなーと思いました。最後の終わり方が何ともいえないです。

2005/12/02 (Fri) 01:53 | EDIT | REPLY |   
フレ@ロック好きの行き着く先は…  
コメントバックパート2

多数コメントありがとうございます。せっかくなのでまたまた本人登場で感謝&コメント返しを…。

> bongokidさん
凄く思い入れのあるブログで、僕なんかよりも全然洞察力に溢れた文面で想いが伝わりました。フリップの知性に対抗した体育会系のメンバーがガシガシとやり合いながら結局体育会系が勝ったにもかかわらずフリップ卿の独裁力は揺るがず、と言う構図は後のクリムゾンへの布石になっているような気がします。語りすぎ!?

>sugiさん
2000年クリムゾン、今になって見ておけば良かったと少し思ってます(笑)。めちゃくちゃメタリックになったクリムゾンも良いのですが、やはり優しさも持ち合わせた初期はたまらんです。後追い組には羨ましい70年代ですよね。

>いたち野郎さん
「Earthbound」のオリジナルはHELP-6という廉価版レーベルからのリリースで、確かにあの音は話題狙いだったのかもしれませんね~、でも、それにしても納得してリリースしたとは思えないんですよね。あのフリップのことなので。まぁ、確かにそれで後世に残るレコードにはなりましたが。

>evergreenさん
ひゃひゃ~たっぷりトラバしちゃったらこちらもたっぷりトラバ、サンクスです。まだまだ人気のあるなんておこがましいんですけど、同じような時期に同じような趣味を同じように発信しているって凄いことですよね。顔は知らなくても広がるネットの世界ですけど、共通の趣味で言葉で話して、それぞれプライド持って発信して、やっぱ悪い人いなそうなロックの世界ですもん。いや、みてくれはみんな悪いと思うんですが(笑)。天の邪鬼、大いに結構っつうかみんなそうだと思うんだよね、ここに来る人達って。んでもやっぱ熱い。いいねっ!
 で、アイランドでクリムゾン終わったっていうの、よくわかります。実際終わった、んですよね、一旦。「太陽と戦慄」からは別バンドですもんねぇ。昔レコード屋で話してたらアイランドこそ真のファンが好むアルバムだ、と断言されて、理解するまで聞き込みました(笑)。若かったです。はい。

2005/12/03 (Sat) 01:41 | EDIT | REPLY |   
ukiki  
プログレッシブ・ドットジェイピー

iN-phase,Horyの部屋さんから覗かせていただきました。
TBとリンク張らせていただきましたのでよろしくお願いいたします。

2006/01/03 (Tue) 23:57 | EDIT | REPLY |   
evergreen  

ボズなくなったよ、21日私が記事書いた日だよ・・・

2006/09/24 (Sun) 10:05 | EDIT | REPLY |   
高瀬大介  

誰も指摘しないんでびっくりなんですが、最後のところ、次期メンバーの記述なんですが、エディ・ジョブソンではなくてデヴィッド・クロスです。エディ・ジョブソンは1975年に出たクリムゾンのライブアルバム「USA」のバイオリンパートの差し替えで起用されただけです。

2011/12/08 (Thu) 08:11 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>高瀬大介さん

ご指摘ありがとうございます。
早速修正しておきました♪

2011/12/10 (Sat) 20:25 | EDIT | REPLY |   

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