Roger Waters - The Wall
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Roger Waters - The Wall (2015)
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昔のロックバンドが今でも活躍してて、もちろん昔の曲を演奏したりライブでアルバム丸ごとやったりして人気を博していたり工夫を凝らしていたりするのも随分と見てきたものだが、さすがに往年のファンでも見飽きてきたって感があるんじゃないだろうか。そこには何ら変わらない安心感を求めているからそれでいいんだという向きも多いだろうし、人間年取るとそう思うもので、物事を変えたくない事に固執する傾向が多いしね。でもさ、それじゃつまらないワケ。かと言って新作出されても真面目に聴けないし、ワガママなリスナーを満足させるにはどうするのが良いのかね?なんて考えるワケじゃないが、往年のバンドの良さをもっともっと引き出せることがあるだろうと。そういう意味で見事に古いロックをそのまま進化させて大成功している人物のひとりにロジャー・ウォーターズがいると思う。
これまでのロックアーティストの世界的興行成績で第3位となるほどの大成功となったツアーとなったというニュースを見てて、ロジャー・ウォーターズだよな?しかもやってるのは「The Wall」の完全再現ツアーだよな?マジか?って思ったのは自分だけではないだろうと思う…、だってさ、「The Wall」だよ?それが一般的人気のあるU2とかレディ・ガガとかボン・ジョヴィなんかと秤にかけられての興行成績だよ?いつから「The Wall」がそんなに大衆的なものになったんだ?ロジャー・ウォーターズ自体が人気あるとは到底思えないからPink Floyd人気だろうけど、それでもよりによって「The Wall」ツアーなんてさ、ホントかよ、って思うけど、これがどうもホントで、時代を経て「The Wall」のメッセージ性が共感されてきたのか、何だかよくわからんけど、一般的に聴かれるアルバムになっているのようだ。日本じゃ考えられないのだが…。
そのロジャー・ウォーターズがツアードキュメンタリーを含めて映画化してしまったのが「The Wall」。2010年〜13年までのツアーの記録とそこにロジャー・ウォーターズ自身の物語、戦死した父と祖父への追悼を含めての記録映画に仕上げている。その追悼部分はともかくながら、圧巻なのは「The Wall」ツアーのスケールのデカさ。ちょくちょくYouTubeなんかでも見てて凄いな〜、これ、って思ってたけど、このクォリティの画質で迫力満点の映画というビジュアルで見るととんでもなく完成度の高い作品をツアーでやってたことがわかる。観客もひとつの参加者になりお面を被って歌いあげたりとかね。とにかく冒頭から圧倒的で、ビジュアルと音楽の組み合わせがデジタル機器の発展で更に具現化していて驚くばかりの美しさになってるし、メッセージもふんだんに織り込まれている。どこまでがリアルなのかどこからがビジュアルなのか、会場にいたら大きすぎて見えないくらいに周囲をビジュアルに囲まれていたんじゃないだろうか。凄い。そして名曲の数々を観客が熱唱しているのはさすがにリリースから30年以上経過しているからだろう、案外若者が多く見えるのも世代を超えた名盤であることの証明か。何と言ってもそのピークは「Comfortably Numb」になる。始まった瞬間からあの独特のまったり的ムードが漂い、女性は舞い踊り、涙する、会場は全体がゆらりゆらりと揺れている、そこをロジャー・ウォーターズが煽り、至福の時が全てに訪れ、壁の天辺では残念ながらデイブ・ギルモアではないが、デイブ・キルミンスターが完璧なフレーズをなぞり聴衆を天に誘う。完璧に、そして見事にこのショウのクライマックスは時間の流れを止めながら恍惚としたムードを醸し出してくれている。ここでのビジュアルとロジャー・ウォーターズの融合も素晴らしい。そして壁の崩壊で現実に戻される。
アルバム「The Wall」にはないいくつかの小曲が間に挟み込まれ、オリジナル通りにこだわるでもなく、より一層の進化形を辿り今でも聴衆に新たな「The Wall」を提示してリスナーを増やしていくという意欲、作品に対するこだわり、この辺りがただ単に往年のロックをライブでやってるだけですってのとは違ったアーティストな作品なのだ。断言して言えるのは「The Wall」を楽しむならオリジナル盤じゃなくて今回の「The Wall」を見ることから入るのは大いにありだろう。どころか現時点でこの「The Wall」が完成形に近いだろう。そもそもがライブでの観客との間に壁を感じたことから出来上がったロジャー・ウォーターズの妄想アルバムだが、時を越え、ベルリンの壁崩壊時にはそれをベルリンの壁になぞらえ、今回は壁から戦争反対へのテーマへとすり替えての再演、いずれにせよ「壁」というのは人間にとっていつの時代にもテーマになり得るものだからこうして姿形を変えてメッセージ性を高めてしまうのだ。当時は意識しなかったであろうが、人間の本質をエグった作品を作り上げたロジャー・ウォーターズの信念は見事としか言いようがない。そしてこの真実は「The Wall」の作品でも圧倒的に見ている人、聞いている人に響く素晴らしいものに仕上がっている。是非、この一大スペクタルロードムービーを堪能してあの聴くのが辛いアルバム「The Wall」をここまで大衆化させた仕掛けを味わってほしい。
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昔のロックバンドが今でも活躍してて、もちろん昔の曲を演奏したりライブでアルバム丸ごとやったりして人気を博していたり工夫を凝らしていたりするのも随分と見てきたものだが、さすがに往年のファンでも見飽きてきたって感があるんじゃないだろうか。そこには何ら変わらない安心感を求めているからそれでいいんだという向きも多いだろうし、人間年取るとそう思うもので、物事を変えたくない事に固執する傾向が多いしね。でもさ、それじゃつまらないワケ。かと言って新作出されても真面目に聴けないし、ワガママなリスナーを満足させるにはどうするのが良いのかね?なんて考えるワケじゃないが、往年のバンドの良さをもっともっと引き出せることがあるだろうと。そういう意味で見事に古いロックをそのまま進化させて大成功している人物のひとりにロジャー・ウォーターズがいると思う。
これまでのロックアーティストの世界的興行成績で第3位となるほどの大成功となったツアーとなったというニュースを見てて、ロジャー・ウォーターズだよな?しかもやってるのは「The Wall」の完全再現ツアーだよな?マジか?って思ったのは自分だけではないだろうと思う…、だってさ、「The Wall」だよ?それが一般的人気のあるU2とかレディ・ガガとかボン・ジョヴィなんかと秤にかけられての興行成績だよ?いつから「The Wall」がそんなに大衆的なものになったんだ?ロジャー・ウォーターズ自体が人気あるとは到底思えないからPink Floyd人気だろうけど、それでもよりによって「The Wall」ツアーなんてさ、ホントかよ、って思うけど、これがどうもホントで、時代を経て「The Wall」のメッセージ性が共感されてきたのか、何だかよくわからんけど、一般的に聴かれるアルバムになっているのようだ。日本じゃ考えられないのだが…。
そのロジャー・ウォーターズがツアードキュメンタリーを含めて映画化してしまったのが「The Wall」。2010年〜13年までのツアーの記録とそこにロジャー・ウォーターズ自身の物語、戦死した父と祖父への追悼を含めての記録映画に仕上げている。その追悼部分はともかくながら、圧巻なのは「The Wall」ツアーのスケールのデカさ。ちょくちょくYouTubeなんかでも見てて凄いな〜、これ、って思ってたけど、このクォリティの画質で迫力満点の映画というビジュアルで見るととんでもなく完成度の高い作品をツアーでやってたことがわかる。観客もひとつの参加者になりお面を被って歌いあげたりとかね。とにかく冒頭から圧倒的で、ビジュアルと音楽の組み合わせがデジタル機器の発展で更に具現化していて驚くばかりの美しさになってるし、メッセージもふんだんに織り込まれている。どこまでがリアルなのかどこからがビジュアルなのか、会場にいたら大きすぎて見えないくらいに周囲をビジュアルに囲まれていたんじゃないだろうか。凄い。そして名曲の数々を観客が熱唱しているのはさすがにリリースから30年以上経過しているからだろう、案外若者が多く見えるのも世代を超えた名盤であることの証明か。何と言ってもそのピークは「Comfortably Numb」になる。始まった瞬間からあの独特のまったり的ムードが漂い、女性は舞い踊り、涙する、会場は全体がゆらりゆらりと揺れている、そこをロジャー・ウォーターズが煽り、至福の時が全てに訪れ、壁の天辺では残念ながらデイブ・ギルモアではないが、デイブ・キルミンスターが完璧なフレーズをなぞり聴衆を天に誘う。完璧に、そして見事にこのショウのクライマックスは時間の流れを止めながら恍惚としたムードを醸し出してくれている。ここでのビジュアルとロジャー・ウォーターズの融合も素晴らしい。そして壁の崩壊で現実に戻される。
アルバム「The Wall」にはないいくつかの小曲が間に挟み込まれ、オリジナル通りにこだわるでもなく、より一層の進化形を辿り今でも聴衆に新たな「The Wall」を提示してリスナーを増やしていくという意欲、作品に対するこだわり、この辺りがただ単に往年のロックをライブでやってるだけですってのとは違ったアーティストな作品なのだ。断言して言えるのは「The Wall」を楽しむならオリジナル盤じゃなくて今回の「The Wall」を見ることから入るのは大いにありだろう。どころか現時点でこの「The Wall」が完成形に近いだろう。そもそもがライブでの観客との間に壁を感じたことから出来上がったロジャー・ウォーターズの妄想アルバムだが、時を越え、ベルリンの壁崩壊時にはそれをベルリンの壁になぞらえ、今回は壁から戦争反対へのテーマへとすり替えての再演、いずれにせよ「壁」というのは人間にとっていつの時代にもテーマになり得るものだからこうして姿形を変えてメッセージ性を高めてしまうのだ。当時は意識しなかったであろうが、人間の本質をエグった作品を作り上げたロジャー・ウォーターズの信念は見事としか言いようがない。そしてこの真実は「The Wall」の作品でも圧倒的に見ている人、聞いている人に響く素晴らしいものに仕上がっている。是非、この一大スペクタルロードムービーを堪能してあの聴くのが辛いアルバム「The Wall」をここまで大衆化させた仕掛けを味わってほしい。
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